第10話

「グオォォォッ!!!」


炎獄竜(サラマンダー)が、ダンジョンの最深部で大きく吠えた。

周囲の温度が急激に上がり、まるで蒸し風呂のような熱気が襲ってくる。

その巨大な体は、まるで火山のように燃え盛る赤い鱗に覆われていた。


「こいつがボスか……。」


俺は剣を握りしめ、氷雨レイと目を合わせる。


「……あんたの未来予知、使えるんでしょ?」


「当然だ。」


「じゃあ、私に任せて、未来の指示を出してよ。」


「任せろ。」


未来予知を使って、レイの攻撃タイミングを完全に把握する。

彼女の氷魔法と俺の剣技——それがうまくかみ合えば、必ず倒せる。


「さて、行くぞ。」


「フウウウッ!!」


サラマンダーが大きく口を開け、火炎を吐き出す!


「注意しろ! 火炎の範囲が広い!」


『右へ避けろ! 火炎の中に突っ込むな!』


俺はすぐに右に飛び退く。

火炎が俺を目がけて直線的に迫るが、ギリギリで回避成功。


「くっ……!」


「こっちもかわせるよ!」


レイが魔法を唱える。


氷壁アイスウォール!」


巨大な氷の壁が、サラマンダーの火炎を完全に防ぐ。


「よし!」


「次は私の番よ!」


「未来の指示を頼むぜ!」


俺はレイに向かって言う。

その瞬間——


『サラマンダーの背中に隙間がある。氷の槍で一気に攻めろ。』


「背中に隙間があるから、そこを氷の槍で攻撃するんだ!」


「了解!」


レイは氷の魔力を集中させ、氷の槍を作り出す。

その氷槍をサラマンダーの背中めがけて放つ!


シュゥウウッ!!!


氷槍がサラマンダーの鱗を突き破り、その体に深く刺さる。

サラマンダーは痛みに吠え、暴れるが、それを見逃さなかった。


『今だ! 頭に攻撃を集中させろ!』


「行くぞっ!」


俺はすかさず、全力で駆け寄り、剣を振りかぶる。


「お前の炎の力、もう終わりだ!!」


ドゴンッ!!

俺の剣が、サラマンダーの頭部に深く突き刺さる。

サラマンダーが激しくのたうち回り、最後に一声吠えた後——その身を沈める。


「……倒した……。」


サラマンダーが崩れ落ち、無事に倒すことができた。

レイもほっとした表情で息をつく。


「やったな、凌。」


「お前の氷魔法、すげぇな。」


「協力してやっとだよ。」


視聴者数、そしてランキングが動き始める

倒したボスの死体が崩れるのを見届け、俺は配信画面をチェックする。

視聴者数が一気に増加していた。


視聴者数 3,500人!


『未来予知が当たった!』

『やった!』

『氷魔法と未来予知のコンビ最高!』

『カインの配信みて』

『レイ、可愛すぎだろ』

『風間最強!風間最強!風間最強!』


「よし、順調にいってるな。」


レイが次に言った。


「これでランキング10位に入るかもね。」


「……ま、ここからが本番だな。」


10位入りを果たすには、あといくつかクリアしなきゃならないダンジョンがある。

それを全部クリアして、次は…世界ランキングだ。


俺はもう一度、目標を再確認する。


だが——その時、配信画面に新たなコメントが流れた。


『風間凌、ランキング10位に入る前に気をつけろ。次に立ちはだかるのはお前の運命を決める最強の敵だ。』


……え?


「運命を決める敵?」


そのコメントを見た瞬間、俺の心臓が高鳴った。


「運命を決める敵?ランキング10位の方かしら?」


レイが興味深いわね、とこちらを向いた。


「ランキング10位って誰なんだっけ?」


「う~ん、あのあたりはコロコロとかわるからね。」


「あ、そうなんだ。」


「うん、後で確認しようか。」


「そうだな。とりあえず、どんな敵が待ち構えているのか楽しみだよ。」









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