第8話

政府の監視を受けた翌日——。


俺はストリームハンターのランキングを確認する。


「……【日本ランキング 62位】か。」


昨日の戦いが拡散され、視聴者数はさらに伸びた。

たった数日の間で、俺は底辺配信者から日本トップ100入りを果たしたわけだ。


「でも、まだまだだな……。」


俺の目標はトップ10入り。

そして、その先には世界ランキングがある。


「……よし、次のダンジョンは“高ランクエリア”だ。」


視聴者をさらに増やすため、俺は“とっておきの作戦”を考えていた。


「さて、どのダンジョンを選ぶか……。」


俺は配信者たちが挑んでいる最新のダンジョン情報を調べる。


【超高難度】ダンジョン『灼熱の獄炎迷宮』攻略配信開始!

配信者:氷雨レイ(ランキング7位)


「……氷雨レイ?」


氷雨レイ——日本ランキング第7位の配信者。

冷静な戦術と圧倒的な氷魔法を駆使する女戦士で、ストリームハンターでも特に人気が高い。


「この人の配信、コラボできたら一気に注目されるな……。」


だが、俺みたいな新人がいきなり絡める相手じゃない。


「……いや、逆に考えれば、ここで名を売るチャンスだろ。」


俺はある作戦を思いつき、すぐに配信を開始した。


「よし、やるか——“氷雨レイのダンジョンを先にクリアしてみせる”作戦。」


『風間さんおはです』

『風間最強!風間最強!風間最強!』

『カインの配信みて』

『また面白いものキボンヌ』

『未来予知うらやま』


「視聴者数、3,450人……よし、いい感じだな。」


俺の配信を見ている人数は、以前より圧倒的に増えていた。

みんな、俺が未来予知の力を駆使して攻略する姿を期待している。


「じゃあ、行くぜ!」


【超高難度】灼熱の獄炎迷宮——潜入開始!


『このエリアのボスは炎獄竜(サラマンダー)だ。』

『氷雨レイが倒す前に、攻略しろ!』


「やっぱり、レイもこのダンジョンを狙ってるのか……。」


彼女の攻略が成功する前に、俺がクリアすれば……

間違いなく注目を集める!


「……未来予知コメント、頼むぜ。」


俺はダンジョンの奥へ進む。

しかし、その時——


『注意しろ、レイが君を探している。』


「……え?」


次の瞬間——


ゴオオオオッ!!


上空から氷の刃が降り注いだ!


「——っ!?」


俺は咄嗟に回避する。


そこに立っていたのは——


「……やっぱり来たか。」


氷雨レイ7だった。


「風間凌……未来予知の配信者。」


レイは俺を冷ややかな視線で見つめる。


「私のダンジョンに、先に入るとはいい度胸ね。」


「そっちこそ、俺を狙ってるんじゃねぇのか?」


「……ええ、少し興味があってね。」


レイは氷の刃を構える。


「あなたが本当に未来を見ているのなら、どこまで“予測”できるか試してあげる。」


「マジかよ……。」


「——私と戦いなさい。」


次の瞬間、レイの氷魔法が俺に向かって放たれた——!


「チッ……マジでやる気かよ!」


レイの魔法が俺を襲う。


『左へ回避しろ。氷槍が来る。』


「——っ!」


俺はすかさず左へ回避。

次の瞬間、氷の槍が俺の右肩をかすめた。


「っぶねぇ……!」


レイは淡々と攻撃を続ける。


「なるほど、確かに私の攻撃を事前に避けているわね。」

「だったら、試してみる?」


彼女は手をかざし——


「“氷嵐(アイスストーム)”!」


全方位から氷の嵐が襲いかかる!


「っ……!」


未来予知コメントが流れる。


『ジャンプしろ! 氷の竜巻が来る!』


「——よっしゃ!」


俺は思い切ってジャンプ。

直後、地面から氷の竜巻が噴き上がる。


「おおおっ!? ギリギリセーフ……!」


レイは冷静に俺を見つめた。


「……あなた、本当に未来を見ているのね。」


「気づくの遅いぜ。」


俺はニヤリと笑う。


「けど……未来が見えても、“この先”はどうかしら?」


レイは再び魔法を構えた。


「私の“最強技”を——耐えられる?」


「マジかよ……!」


次の瞬間、氷の大剣がレイの手に出現した。


「こっからが本番ってわけか……!」


周りの空気が一気に冷え込むのがわかる。


吐く息が白くなった。


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