第29話
今日は、みんなで花見に行く日。
春野さんも誘ったけれど、来れないらしい。
風間くんは来てくれた。
「風間。お酒は飲むなよ?」
「蓮音は真面目だな」
「当たり前のことだから」
運良く桜の木の下で場所取りでき、そこにレジャーシートを敷く。
用意した紙コップに、それぞれ飲み物を入れ乾杯する。
「カンパーイ!」
私は少し躊躇しながらお酒を飲む。
「苦ーっ」
「あはっ、苦いよね」
「いつか美味しく感じる日が来るよ」
「芽原くんは大人ですねぇ」
「それほどでも」
「桜雨さん。お酒飲むの初めてですか?」
「うん」
「そうなんですね。僕も飲みたいです」
「ダメだよー。ほら、芽原くんが言ってたでしょ?」
「でもー」
「風間。やめとけ」
「芽原さん。お願いします」
「ふっはは、目うるうるさせても無駄だぞ」
「そんなことしてませんよ」
「あ、そうだ。ゲームしない?私トランプ持ってきたんだー」
「さすが陽和。しようぜ」
「何する?」
「ババ抜き?」
「そうだな」
均等にカードを配っていく。
「1番最初に勝った人はどうする?」
「んー、負けた人から何か奢ってもらえる」
「お、いいな。そうしよ」
急に真剣な目になるみんな。
じゃんけんをして、1番初めにカードを取る人を決める。
結果、七海くんから。
「蓮音。引くぞ」
「はいよ」
「やった。揃ったー」
「じゃ次、陽和」
「どれにするー?」
「これだ!…ない」
「桜雨、選ぶよー」
「うん」
「これかな?…揃った!」
「風間くん。取るね」
「はいっ」
「これにしよーっと。…あ、やった」
「揃いました?」
「うん」
「七海さん。取りますよ」
「どうぞ」
「…ああ、ダメだ」
繰り返し、カードを取り合う。
1番最初に勝ったのは、陽和。
最終的に、私と七海くんが残った。
心理戦になる。
「桜雨頑張れ!」
「桜雨さん頑張ってください!」
「…葵、頑張れ!」
「え、ちょっと待って。俺は?」
「応援してくれる人いないみたいだな」
「蓮音ー」
「だって、陽和が葵応援してるから」
「ひどくない?」
「ほら、七海くん。早く取って」
「分かった」
私の手元にはジョーカー。
七海くんは、手元に1枚だけ。
ジョーカーを選んでくれないと、私が負ける。
七海くんが恐る恐るカードに手を近づける。
「…これだっ」
七海くんが取ったカードは、ジョーカー。
「やった」
「…うそだろ…」
「次、取るよ」
「うん」
じっくり考えて選ぶ。
七海くんの表情を見るけれど、分からない。
「これかな」
取ったカードを見た。
「揃った!」
「負けたー」
「七海、奢ってね」
「分かったよ」
再びお菓子を食べたり、飲み物を飲んだりした。
そうしていると、後ろから声がした。
「あ、兄ちゃん」
「お、咲茉じゃん」
振り向くと、そこには咲茉くんと麦さんがいた。
「ん?咲茉くんだ」
「よっ」
「麦さんも」
「桜雨ちゃんに会えるとは嬉しいね」
「私もです」
「あははっ。サクちゃん、先に戻っておくね。それじゃあね、桜雨ちゃん、ルカちゃん」
「はい」
「じゃあな」
「…桜雨」
「何?咲茉くん」
すると腕を引っ張られた。
「ちょっと」
そして咲茉くんが耳元で言った。
「何で一緒にいんの?」
「え?」
「関わるなって言ったよな?」
「…ああ。それは……」
すると、また急に前世が見えた。
「天雨」
「どうしたの?
天舞?
誰?
飛夏の兄?
いやでも…。
「五十嵐とまだ関わってるのか?」
「うん」
「…はぁ、関わるなって言ってるだろ?」
「そんなこと言われても」
「嫌な目にあったのに、関係を切れないのか?」
「…仕方ないじゃない」
「繰り返すぞ」
…繰り返す?
…もしかして、咲茉くん?
顔は見えない。
でも、関わるなって言ってるし。
咲茉くんなんじゃ。
「…天舞が言うのなら、そうかもしれないね」
「だったら」
「…関係を切るのは、そんな簡単なことじゃない」
「知ってるよ。…僕は、姉さんのことを心配して言ってるんだ」
姉さん?
この子は弟なの?
しかも、前に咲茉くんと同じ会話した…。
「分かってる。でもね、もう少し時間が必要なの」
「…なるべく関わらないようにして」
「うん。ありがとう、心配してくれて」
「…でも、天雨だったら簡単に切れる方法あるじゃん」
何?方法って。
「そうだね。…でも、そのために使うものじゃないから」
何の話してるの?
「そうかな?」
「そうだよ」
天舞という男の子が近づいてきた時、顔からモヤが消え、顔がはっきりと見えた。
…やっぱり、咲茉くんだ。
「…分かったけど。絶対に、繰り返さないようにして。約束」
「うん。約束ね」
その瞬間、前世が見えなくなった。
「固まってどうした桜雨」
「…咲茉くん」
「何?」
「知ってたんじゃないの?」
「何を」
「…前世を」
「…何か見えたの?」
「天舞。私の弟でしょ」
「…約束破っただろ」
「…そう、だね。って、やっぱり」
「…今度、神社で」
そう言うと、咲茉くんは私の腕から手を離し、向こうへ歩き出した。
「ちょっと待って」
止まることなく咲茉くんは歩いていく。
どういうこと?
やっぱり何か知ってるんだよね。
「桜雨。どうしたの?」
「いや」
「咲茉がごめん」
「え?」
「腕引っ張られてたから」
「ああ、大丈夫だよ」
「本当か?痛かったら言えよ?言っとくから」
「本当に大丈夫。ありがと」
「それにしても桜雨、何話してたの?」
「…秘密」
「ええ、気になる」
そうして、しばらく桜を堪能してから解散した。
…まさか、前世で咲茉くんが弟だったとは。
だから、兄弟のように感じたのかな。
…それよりも、何を知ってて、どこまで知ってるんだろう。
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