第15話
今日はバイトで、平日なのに人が多い。
そして、麦さんが来てくれる。
無意識に、七海くんと風間くんを見てしまう。
七海くんが好き。
その気持ちが戻りつつある。
でも、実らない。
風間くんは、私のことを好きになってくれた。
でもそれは、私が風間くんを恋愛対象として見ていないから。
だからもし、はいって返事をしても、好きな人と実ったことにはならない。
たぶん、好きにはならないってことだろう。
もしくは、好きになった途端、別れることになるとか…。
麦さんに早く見てもらいたいな。
今日の風間くんの担当は、ホール。
だから、スムーズに見てもらえるだろう。
私もホールだから、結果が聞きやすい。
七海くんはカウンターで、忙しくしている。
忙しくても、私はチラチラと七海くんを見てしまう。
もう、この気持ちはどうすることもできないと、認め始めている自分がいる。
そんなことを考えていると、リンリンッと音がして、ドアの方を見る。
「あっ、麦さん!」
「桜雨ちゃん。来たよ」
「ありがとうございます。あれ、咲茉くんも」
「よ」
「来てくれたんだ」
「まあ」
まだ
「咲茉くん。あのこと、絶対に誤解だと思う」
「どうかな」
「絶対そうっ」
すると、咲茉くんが小声で言った。
「…告白されたんだろ?」
「え、何で知ってんの?…ああ、分かるのか」
「…はぁ、繰り返すつもりなのかよ…」
「え?何の話?」
その質問に答えず、席に座りに行った。
もう、どういうこと?
少しすると、麦さんに呼ばれた。
「注文いいかい?」
「はいっ」
「じゃ、このオムライス」
「僕はこのパスタ」
「かしこまりました」
「桜雨ちゃん。あの子だよね」
「うん」
「あとで、ちゃんと見ておくね」
「ありがとうございます。ごゆっくりどうぞ」
再びバタバタと
しばらくして、麦さんたちの料理ができあがった。
「風間くん。この料理運んでくれる?」
「了解です!」
「ありがと」
私は他のお客さんに料理を運ぶ。
そして、注文を聞いたり、新たに来たお客さんを席に案内したり。
なかなか、麦さんに結果を聞けなかった。
麦さんたちが食べ終えた頃、再び麦さんに呼ばれた。
やっと、聞けるっ。
「はいっ」
「…もう一度いいかい?」
「え?」
「見えたのは、見えたんだ。だけど…」
「分からなかったんですか?」
「んん…。まず解く方法は分からなかった。でも、もう一度見れば…」
「おばあちゃん。もう分かったでしょ?」
「まだだ。もう一度確認しないと」
「…またモヤがかってました?」
「いや、見えるし、見たよ。だけど、もう一度見たいんだ」
「…分かりました」
「ありがとう。次は深く見るから」
「はい…」
「僕は言ったからね」
「分かってるよ。でも、最後まで確認できなかったんだ。もう一度くらい良いだろ?」
「いいけどさ…」
一体、何が見えたんだろう。
確認したいって、はっきりと解く方法が分からなかったから?
風間くんが早く戻って行ったから、見れなかったとか?
…まあ、いっか。
そして、2度目のチャンスがやってきた。
「風間くん。この料理お願い」
「はいっ」
お客さんは減ってきて、忙しくはなくなった。
だから、麦さんたちの様子が確認できる。
…どうかな?
そう思っていると、後ろから背中をトントンッとされた。
振り向くと、七海くんがいた。
「ん?」
前にも同じようなことをされ、その時のことを思い出してしまう。
「咲茉たちのことじっと見て、どうした?」
「え、あ、えっと、風間くん大丈夫かなって、心配してた」
「本当か?大丈夫だろ、何を心配するんだ?」
「んー、まあ何となく」
「何だそれ」
その時、風間くんが戻ってきたので、麦さんたちの方を見た。
…なぜか、険しい顔をしている。
分からなかったのかな?
…ええ、もしそうだったら、どうすればいいの?
まあ、まだ聞いてみないと分からないよね。
解く方法が難しいのかも…。
「やっぱ、咲茉たちのこと見てんじゃん」
「え?」
「…もしかして、咲茉のこと、好きなのか?」
「ええっ?!そんなわけないじゃん」
「…そんな強く否定しなくても…」
「あ…。…違います」
「それは分かったよ。それで、何かあんの?」
「…ないです」
「何で敬語…?」
「何でも、ないです」
「わざとだろ」
「あ、バレた?」
「やっぱり。そりゃ、バレるわ」
そんな話をしていると、風間くんが言った。
「葵さん」
「どした?」
「あの、返事なんですけど…」
「ああ…」
「明日お休みですか?」
「明日はごめん、バイト入ってる」
「それじゃ、来週は…?」
「うん、空いてる」
「その日、ご飯食べに行きませんか?」
「…分かった」
「へぇ、またご飯食べに行くんだ?2人、そういう関係だったりして?」
「え、あ、いや…」
答えずらい話しないでよ…。
「まだ、そういう関係じゃないです」
へ?
「…ふーん。つまり、風間くんは葵のこと好きなんだ?」
「はい!告白もしてますっ」
「ちょっ、風間くん」
ストレートな回答に、七海くんも少し驚いている。
「へぇ、そうなんだ。葵はどうすんの?」
「えっ、そ、れは…」
そんな質問しないでよ!
どう答えたらいいのよっ。
「…ごめんごめん。冗談だよ」
…はぁ。
何か疲れた…。
ていうか、気まず…。
すると、麦さんが私を呼んだ。
麦さん、神っ!
急いで麦さんのもとへ行く。
「どうしました?」
「今日、何時上がりなんだい?」
「えっと、15時までです」
「そうかい。その後、私の神社に来てくれるかい?話したいことがあるんだ」
「…分かりました」
ここでは、話せないのかな?
あ、話が長くなるとか。
カウンターの方へ戻り、何が分かったんだろう、と考える。
「おばあちゃん、何だった?」
「え?あ、神社に来てって」
「ああ。もしかして、そこで知り合った?」
「いや、荷物運ぶのを手伝った時に、神社に行ったの」
「そうだったんだ。あおさく、優しいんだな」
「え…、あ、ありがとう」
急に褒められて、顔が赤くなっていく。
やばいっ、冷やせ冷やせ。
頑張って冷静になる。
そのとき、麦さんたちがレジの方に来た。
「帰るんですか?」
「ああ。桜雨ちゃん、待ってるね」
「はい」
「…俺のこと、忘れてない?」
「何言ってんだい。ちゃんと、ルカちゃんのことも見とるよ」
「そう?」
「うわ、兄ちゃん。寂しがり屋ー」
「咲茉、帰ったら覚えとけよ?」
「兄ちゃんなんか怖くないし」
「言ったなーっ」
「ほれほれ、そこまでだ。じゃ、帰るよ」
「おう。また来てよ」
「ああ。頑張ってね」
「ありがと」
「ありがとうございます」
手を振り、2人を見送る。
退勤時間になると、そのまま麦さんのいる神社に向かった。
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