第1話

『Rebel Spell』 第1話


──サイレンの音とともに始まる。


夜の街に、鋭いサイレンが鳴り響く。

それは、既得権益者の”猟犬”たちが動き出した合図。


「逃げろ!」


短く、一言だけ。

その声と同時に、爆発音が響いた。


***


Scene 1:反逆者と救いの手


光が乱反射する暗闇の中、少女が息を切らせながら走る。

服は破れ、泥にまみれ、膝には血が滲んでいた。


「……捕まる……!」


背後から無機質な金属音が響く。

人間ではない。“猟犬”のような機械獣が、鋭い爪を光らせながら迫っていた。


「ちくしょう、もう少しで……」


少女が足をもつれさせた、その瞬間——


ガシッ!!


力強い腕が、彼女の体を引っ掴んだ。


「よっと。」


低く響く声。

振り向くと、そこには男がいた。


大柄な体格にタイトな戦闘服。

銀色の髪を振り乱しながら、少女を一瞬で抱え上げると、

彼はそのまま**“猟犬”に向かって跳躍した。**


“ティップ”——異常なまでの腕力とスピードを持つ戦闘員。


「俺の筋肉は、機械の犬にも負けねぇからよ!」


拳を振り上げる。

迫る金属の牙を——


ドゴォンッ!!


一撃で粉砕した。

機械の獣は火花を散らしながら倒れる。


「はい、終了。」


少女が状況を理解する間もなく、ティップは彼女を担ぎ上げる。


「お前、運いいな!」


「え、待っ、えええ!?」


「行くぞ!」


抵抗する暇もなく、少女は夜の闇へと連れ去られた。


***


Scene 2:アジトへ帰還


「おーい! 帰ったぞー!!」


地下シェルターのドアを蹴り開け、ティップは大声を上げた。

そこは、廃墟の地下を改造した隠れ家。

テクノロジーが張り巡らされたスクリーンに、ソファ、ベッド、食糧庫まで完備。

反逆者たちの”アジト”だった。


「お前、また勝手に拾ってきたの?」


奥から現れたのはアトッシュ。

白衣を羽織り、デニムにブーツというラフな格好。

手には未完成のデバイス。


「いや、拾ったんじゃなくて助けた!」


「拾ったも同然だろ。」


「違ぇよ!」


「お前の“お人好し”また発動した?」


「違うって!」


「で、ケイジュは?」


「ここだよ。」


カウンターに座っていたケイジュが、ゆっくりと立ち上がる。

チョコをくわえたまま、少女をじっと見つめた。


「やっぱり、来たか。」


「え?」


「お前が連れてくると思ってたよ。」


「なんで?」


「だって、この子は**“タグ”**だからね。」


***


Scene 3:無駄話と新たな出会い


少女が到着する少し前、アジトでは”いつもの4人”が暇を潰していた。


「なぁ、“幽体離脱”って、どこまで行けると思う?」


センリ(セイメイ)が座禅を組みながら聞く。


「知るか。ていうか逆立ちでやるの、なんか意味あんの?」


リズが苦笑しながらケーキを食べている。


「俺はやらねぇ。俺が幽体離脱したら、多分筋肉だけが残る。」


ティップが腕を組みながら言った。


「いや、それ幽体離脱じゃなくて肉体脱離じゃね?」


アトッシュが冷静にツッコむ。


「そんなんで死んだら筋肉だけが歩くってこと?」


「マジでゾンビじゃん。」


「てかさ、俺の白衣かっこよくね?」


「白衣破れてるぞ。」


「これが味だよ。」


「は?」


そんな無駄話が繰り広げられる中、突然ドアが開いた。


「お〜い! 帰ったぞ!!」


ティップの声が響く。


そして——彼の後ろに、“助けたはずの少女”がいた。


***


Scene 4:この日が来た


「なっ!? つけられてた!?」


ティップが驚くが、ケイジュは冷静に言う。


「いいんだよ。そうなると思ってた。」


「お前、知ってたのかよ!」


「うん。“この日が来る”ってわかってた。」


ケイジュは、少女の目をじっと見つめる。


「この子が**“タグ”**になるかもしれないからね。」


アジトに緊張が走る。


この世界で”タグ”とは——目的に達するために必要なもの、または人を指す言葉。


つまり、この少女の存在が、“何かを変える鍵”になる。


少女は震えながら、口を開いた。


「……わたし……消されたくない。」


その言葉を聞き、ケイジュはチョコを一口噛み砕いた。


「よし、じゃあ始めようか。」


「……え?」


「プロセスを。」


──次回へ続く。

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