滅亡後の世界で目覚めた魔女、過去へ跳ぶ

kuma3

プロローグ:「滅びの未来と少女の目覚め」

暗闇が広がる無機質な空間。沈黙の中、微かな電子音が響いていた。

 ゆっくりと意識が浮上する。冷たく硬い床の感触。まるで世界そのものが凍りついてしまったかのようだった。


 「……ここは?」


 少女はゆっくりと身を起こし、視界を確認した。

 そこはシェルターの内部──長い眠りから目覚めた場所だった。


 彼女の名は セレスティア・アークライト。

 魔法の血を引く一族の末裔でありながら、世界が科学の支配へと傾いたことで、その力を封じられた少女。

 そして、目の前に映し出された映像が、彼女の世界を根底から覆した。


 『──世界は滅びた』


 たった一文。それがすべてだった。

 かつての文明は消え去り、都市は崩壊。青かった空は鉛色に染まり、希望という言葉すら残されていなかった。


 セレスティアは震える手で扉を開く。

 きしむ音とともに広がるのは、焼け焦げた大地。

 崩れ去った高層ビルの残骸が、過去の繁栄の名残を訴えるかのように朽ち果てていた。


 ──世界は、本当に滅びたのか?

 何がこの未来を作り出したのか?


 「……なあ、お前」


 突然、頭上から声が降ってきた。

 驚いて顔を上げると、そこにいたのは小さな発光体──まるで妖精のような存在だった。


 「ようやく目覚めたな? オレのこと、覚えてるか?」


 その存在は クロノ と名乗った。

 彼は茶目っ気たっぷりに笑いながら、セレスティアの肩に舞い降りる。


 「なあ、お前──この世界を変えてみる気はねぇか?」


 未来を変える鍵は、過去にあった。

 全ての謎を解き明かすため、少女は時を遡る旅に出る。


滅びゆく世界を救うために──。

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