第17章 噂の「楽園の村」情報を手に入れろ!

「怠田様、先ほどの宿屋で面白い噂を聞きましたよ」

酔っぱらい相手にヘトヘトになった僕は、アリシアに肩を借りてフラフラと歩いていた。

宿屋を出た後、アリシアは何やら情報を仕入れていたらしい。

「お、どんな情報だ?」

「『楽園の村』という場所が存在するそうです」

「楽園の村?」

「はい。その村では、働かなくてもすべてが手に入ると言われています。住民は毎日寝て過ごし、食事は勝手に出てきて、家事も誰かがやってくれるとか……」

「な、なんだって!? それ本当か!? そんな夢のような場所があるのか!?」

僕の目が輝いた。

まさに理想の生活じゃないか。これこそ僕が求めていたものだ!

「ええ、ただし場所は誰も知らないそうです。情報によると、『怠惰の神』を祀る場所に行くことで辿り着けるとか……」

「怠惰の神か……俺にピッタリじゃないか」

僕は思わずニヤリと笑った。

これは行くしかない。

「よし、早速その神殿を探しに行こう!」

「ですが、怠惰の神を祀る場所は非常に見つけづらいそうです。普通に探しても見つからないとか」

「それなら《怠惰スキル》を使えばいい。動かずにいれば、きっと誰かが教えてくれるはずだ」

僕は再び地面に寝転がり、《怠惰スキル》を発動させた。

体の力を抜いて、何もしない。ただじっと寝ているだけ。

「本当にそれで情報が集まるんですか……?」

アリシアは半信半疑の様子だったが、僕には自信があった。

《怠惰スキル》は、周囲の人が無意識に僕を助けたくなる効果がある。

動かずにじっとしていれば、誰かが「楽園の村」への道を教えてくれるに違いない。


情報通の老人との出会い

しばらく寝転がっていると、杖をついた年老いた男性が近づいてきた。

白い髭をたくわえ、深い皺が刻まれた顔にはどこか知恵を感じさせる。

「おやおや、こんなところで寝ているとは、珍しい若者だのう」

老人は不思議そうに僕を見下ろした。

(よし、きた!)

僕は動かずに、ただ老人の言葉を待つ。

《怠惰スキル》の効果で、彼は自然と情報を話し始めるはずだ。

「怠惰の神を祀る場所を探しておるのか?」

「……!? なんで分かったんですか?」

思わず声を上げてしまった。

やばい、動いてしまった! スキルの効果が切れる……と思ったが、老人は気にせず話を続けた。

「ふむ、わしも若い頃に探したことがあってのう。怠惰の神を祀る場所は、この隣町の北にあるという噂だ」

「隣町の北……!」

ついに手がかりを掴んだ。

アリシアも驚いた様子で耳を傾けている。

「だがの、その場所に辿り着くためには『怠惰の試練』を乗り越えねばならん」

「怠惰の試練?」

「そうじゃ。何もしないことを極めた者だけが、楽園の村へと導かれるという。中途半端に動く者は永遠に辿り着けん」

「何もしないことを極める……!」

それなら僕にピッタリじゃないか!

「よし、決めた! 俺はその試練に挑戦する!」

「怠田様、本気ですか?」

「ああ、楽園の村に行けば、もう働かなくても一生安泰だ。行くしかないだろ!」

老人は満足そうに頷くと、ゆっくりと立ち去っていった。

その後ろ姿は、まるで何かを知っているかのようだったが、深く考えるのはやめておこう。


怠惰の試練へ向けて

「隣町の北か……よし、行くぞアリシア!」

「はい、怠田様。でも、本当に何もしないことを極められるのでしょうか?」

「楽して生きるためなら、俺はどこまでも怠けてやるさ!」

胸を張って宣言したが、アリシアは苦笑いを浮かべている。

だが、楽園の村への手がかりを掴んだ今、僕の決意は揺るがない。

「怠惰の試練、どんなものか楽しみだな」

僕は《怠惰スキル》を信じて、隣町の北にあるという怠惰の神殿を目指すことにした。

楽園の村を目指す冒険が、今始まる――。

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