3.歪みのはじまり

第7話

胡桃は両親と兄との4人家族。

なんの変哲もない、ごく一般的な家庭だ。


胡桃の兄は5歳年上で、

もちろん優馬とも仲が良い。


ただ、胡桃の両親は共働きで、父親は会社員ではあるが夜勤が多い職業で、1週間に2回か3回ほどしか帰宅しないことが当たり前だった。


そのこともあって、比較的母親と仲が良く、

父親には少し気を遣うこともなくはなかった。


父親は普段は物静かであまり話さないタイプだが、

仕事のストレスのせいか、ひどく酒好きで

帰宅した日には朝まで飲むような状態だった。


すべての始まりは兄が思春期を迎えた頃のことだった。


胡桃が帰宅すると仕事帰りの父親はもう酒を飲んでおり、だいぶ仕上がっていた。


—— 今日はいつもより早いな、


なんて、思っていると兄も帰宅した。


母親も帰宅し、夕飯を食べていると

べろべろになってる父親が兄に向かって、


「最近帰り遅いじゃないか、なにやってるんだ。」


兄もめんどくさそうに、

「部活長引いてるだけ。べつにどこ行ったっていいじゃん。」


すると父親はすぐにカッとなって

「なんだその口の聞き方は!

 それが親にする態度か!」


突然大声をあげて兄を殴った。


—— バンッ、、


「なにすんだよ!!俺は毎日家に帰ってきてるだろ!?何が気に入らないんだよ!!うるせぇんだよいちいち!!」


兄も頭に血が上り、父親を殴ろうとする。


胡桃も母親も訳が分からず、とにかく2人を止める。


「やめてよ!なにやってるの!

 とにかくやめてよ!!」


何回か攻防を繰り広げ、

母親とぼろぼろになりながら止めた。



兄は適当な荷物をまとめてすぐに家を出て行った。



「兄ちゃん!!どこ行くの!!」



胡桃は泣きながら叫んだ。

その時の兄の後ろ姿がもう二度と会えないような、そんな気がしてならなかった。

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