第3話
しばらくの間、
胡桃と瑛太には、ぎこちない日々が続いた。
あの日のことを弁解するわけでもなく、
一度も触れることなく過ごしていた。
触れてはならない気がした。
席が隣じゃなければと、胡桃は少し後悔した。
一瞬でも瑛太に心を奪われたのようなあの感覚、惹きつけられる男と女。
今まで感じたことのない高揚感。
自分の中で、二度と同じことをしてはならないと強く言い聞かせた。
———
物理の授業。
担当教師は胡桃にとって家族同然の存在、
10歳年上の幼馴染の優馬だった。
優馬は胡桃の通う高校に赴任してから3年が経ち、
クールな顔立ちと性格から女子生徒の人気が高い。
優馬目的に物理を専攻する女子生徒も少なくはない。
「授業始めるぞ〜。」
優馬はただ人気なだけではなく、
授業と分かりやすく評価が高い。
幼馴染で同じような場所で産まれたのに
なぜこんなにも優馬はハイスペックなのか、
胡桃にとっては妬ましいところもあった。
—— いくら優馬の教え方が上手いからって、
全く理解できていないんだけど、、
上の空で授業を受けていると、
瑛太が胡桃のノートに何か書き始めた。
“この前はごめん。
今日帰り何時?また相談のって。”
ついに“あの日のこと”の蓋が外れた。
“もう相談にはのれない。”
胡桃もノートに書いた。
“なんで。もうしないから、普通にして。”
“普通にしてるよ。”
“全然普通じゃない。
もしかして俺のこと意識してる?”
瑛太がからかっていることは十分理解していた。
忘れようとしていたあの日のことが、
突然フラッシュバックしてきた。
体が、胸が熱くなって ———
「次の問い、瑛太、分かるか?」
優馬が瑛太を指名した。
瑛太も胡桃も驚いた表情をしたが、
現実に戻されたように平常心を装った。
胡桃はほっとした。
このまま瑛太のからかいにのってしまっていたら、同じ過ちを繰り返すことになると
失いかけたの理性を取り戻した。
チャイムとともに授業がおわる ——。
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