追う魔が刻 :退魔教会シスター活動記録、あるいは怪異ぶん殴り日記

C.B

プロローグ ご依頼頂いた退魔教会です:ある日の光景

「神敵!腐れ外道!!死ねーーーーーーッ!!!」


 ああ、どうも。ご依頼頂いたF県退魔教会の者です。ご依頼頂いた方ですよね?


 えっ?あまりご利用されたことないから?見学したい?まぁ、日常生活送っている中で怪異なんてそうそう見ることはないでしょうか。ただ今日、今日ですか……。ちょっと今日は……。あー、いえ、なんでもないです。


「っと!間合いが遠い!カスみたいな挙動してないでその腐敗した脳みそ使ったらどうです!ゾンビは単純で面白みに欠けますね!」


 シスター穂佐奈!静かに戦うように!依頼人がご覧になるそうですよ!

……失礼致しました、あまりお気になさらないよう。

 申し遅れまして。私、2級退魔シスターのあがた 玲愛れあというものです。我々は一言でいうと“怪異”退治の組織の一員です。なんだか大仰に聞こえますけども、我々は別にスーパーマンではないので、例えば今、この私が持っている警棒とかの多少の武器を使いつつ、退魔術という技術を駆使して怪異を無力化した後、消滅させたり、できない場合は元の世界へ送り返すかして、そういった事を生業なりわいにしています。


 うーん、害獣駆除の化け物版と思っていただいたらわかりやすいでしょうか?

“怪異”といっても、東〇湾から上陸してきてそこら中を焼き払ったりですとか、世界征服を企んだりですとか、そんなものはほぼ無いと思っていただいて結構ですよ。

エクソシスト?あれは別資格です。


「うおッ!?組み付きなら私に勝てるとでも!?『主よ、汝の怒りをもて我が仇の憤りに向かいて起ちたまえ、汝は審判を仰せ出したまえり』*¹!この鋼のロザリオは!主に仇名す者の首をへしおるためにあるんですよ!ァアアッーーー!!!」


 ……本来は、ですが。

 えー、あの半裸になってしまってるのは紫藤しとう 穂佐奈ほさな、同じく退魔シスターでして、私のバディにあたります。

 割と新人とはいえ、実力はなかなか見るものがあります。


 お見苦しい姿をお見せして申し訳ありません。普段はもう少し大人しいんですよ。

 残念ながら、私自身はだんだん見慣れてきたんですが。


「アアアア!正確な投擲とうてき能力が霊長類の特権ならッ!現代の血液たるガソリンを投擲することは、人類の能力の発現に他なりません!!!即座にここで焚刑ふんけいにしてあげます!火炎ビ…」


 ……すみません、ちょっと失礼!


 待ちなさい!シスター穂佐奈、今回の依頼では引火物の使用は禁止と言いましたね!?


 _____________________________________

 *¹ 旧約聖書 詩篇第7篇

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る