アイスと恋の始まり
みかさやき
第1話
よし、決めた。ハーゲンダッツのアイスクリームを買おう。
今週は大学の勉強を頑張ったのだし、問題ないはず。そこでハーゲンダッツのアイスクリームを1つ、かごにいれた。
夕ご飯の材料、それからハーゲンダッツのアイスクリーム1つ。これだけあれば大丈夫、ということで精算を済ませてからさっさと帰宅する。
帰ったらハーゲンダッツのアイスクリーム、これを食べることが出来るとなればうきうきする。
「お久しぶりー、ひひな。元気にしてた?」
そんな訳でアパートの前に、つきゆんがいるのにはびっくりした。
つきゆんは私と同じ学園に通っていた友達だ。とはいえ高校卒業後、2年くらい会ってなかった。
「元気だったけど、つきゆんどうしたの?」
「いや嫁いだ家でうまくいかなくって、逃げてきちゃった。だってさ家の中に毎日閉じ込められてるんだよ。これなら勉強とかすることあった、学園生活の方がまし」
つきゆんは笑顔で、とんでもないことを言う。
高校卒業後、私は大学生になったけど、つきゆんは結婚した。
大正時代の小説でよくありそうな、知らない人に親の命令で嫁がされてしまうあれである。
もちろん知らない人との結婚生活がうまくいくかどうかは分からない。そしてこの状況的にうまくいかなかった、そのことだけ分かる。
「それじゃあつきゆん、これからどうするの?」
「かくまって、ひひな」
手をあわせて、つきゆんがお願いをしてくる。
「ハーゲンダッツのアイスを買ってきたし、とりあえず食べよう」
つきゆんは保冷バッグの中から、アイスを見せてきて。
実は自分用にアイスを買ってきちゃった、そんなことが言えず。
何よりも数少ない幼なじみを、このまま放置にはできなかった。
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