第3話:妊娠させちゃったら男子は責任取らなきゃ。
その人は、その女は少し微笑みながら自分のことを「
そう言った。
「精?・・・鏡の?・・・君が?」
鏡の精だと名乗った女は長い間、鏡の中にいたせいか、まるで猫みたいに、
大あくびしてから背伸びをした。
「たしかに・・・君、鏡から出てきたよね、間違いなく・・・」
「だね・・・」
「君・・・中国の人?」
「みたいね・・・」
「それに日本語、分かるんだ?」
「善右衛門に教わったからね・・・」
「ああ、俺のひいじいさんか・・・」
「あんたは?・・・なんて名前?」
「あ、みなづき よしひこです」
「よしひこのよしは愛情の愛と書いて・・・」
「あ〜〜〜ん・・・漢字なんかどうだっていいの・・・」
「漢字なんか教えてもらっても意味ないし・・・」
「なんて呼べばいいの?、あんたのこと」
「じゃ〜ヨシヒコで・・・」
「びっくりしたでしょ、ヨシヒコ・・・ごめんね」
「善右衛門がね・・・」
「あんたの、ひいおじいさんだけどね・・・善右衛門が亡くなる前に鏡に
封印されてからずっと鏡の中にいたからね 」
「あんたが・・・ヨシヒコが私の前にいるってことは封印を解いたのはヨシヒコ
ってことだから・・・私を出しちゃったんだから、責任とってよね」
「妊娠させちゃったら男子は責任とらんきゃならないでしょ?」
「君を鏡から出しただけで、妊娠なんかさせてないよ、エッチもしてないし」
「同じようなもんでしょ?」
「全然違うよ・・・だけど封印を解いちゃいけなかったのかな?」
「いいの、ちょうどいい時期だったんじゃない? 」
「今日からよろしくね、ヨシヒコ・・・たった今から私とヨシヒコは相思相愛・・・いつも一緒だからね」
「え〜意気投合すらしてないのに相思相愛って・・・会っていきなりはどう
なのかな?」
「いいの、だってヨシヒコが鏡の封印解いちゃったんだもん」
「出した責任とらなきゃ・・・その意味わかるよね」
「責任たって・・・なにをどう責任とれっての?」
「だから、今日からはヨシヒコは私の彼氏・・・恋人って設定」
「裏切ったら怖いからね・・・呪っちゃうよ」
「え〜・・・そんな勝手な・・・」
「なに?・・・私じゃ不満?」
「もし私を嫌いなんて言ったら500年くらい呪ってやるから・・・」
「500年って言ったら、西遊記の孫悟空が五行山に閉じ込められた年数だからね」
「お釈迦様も三蔵法師も助けには来ないよ、ヨシヒコ」
「いやいや不満なんてとんでもない・・・むしろ君みたいな可愛い子が僕の彼女
って、いいのかな?・・・信じられないんだけど・・・」
「いいんだよ、信じて・・・ってことで・・・さっそく抱いて・・・」
「は?」
「だから〜抱っこしてって言ってるの・・・」
「抱っこ?・・・ハグ?・・・なんで?」
「愛し合ってるからに決まってるでしょ・・・」
「ヨシヒコ〜抱っこ、はやく〜・・・」
「もう・・・しょうがないな〜」
ずっと、抱きしめたままでいたいと思った。
(わあああ・・・ははあ、めっちゃいい匂いする・・・中国っぽい)
飛飛の匂いは男を惑わす淫靡なお香に匂いだった。
つづく。
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