帝国年代記:帝国対連合 Reich Chronik: Reich Gegen Union

マックス一郎

貴族殺人事件 Adel Mordfall

第1話 序章・皇帝陛下  Euer Majestät

アーモニア帝国、帝都・ベーラン

ベーラン王宮前

新皇帝歴5年2月15日

朝方8時30分


皇帝は宮殿の巨大な演説用バルコニーに出た。

大きな帝国の赤・白・黒の国旗と巨大な赤いタペストリーの赤い背景に白い円、その中心に帝国のシンボルである黒いドラゴンの紋章が飾っていた。


音声拡張魔法の魔法陣を杖で発動し、宮殿の前に集まった帝都市民の前に対して、

毎週末の演説をはじめた。


10万人以上の帝国民が王宮殿の前に集まり、皇帝の言葉を待っていた。

シンプルだが綺麗に整った軍服を着た皇帝は直立の姿勢で右手を張り伸ばし、左胸の位置で水平に構えて、手の掌を下に向けた状態で腕を斜め上に突き出して、民衆に対して帝国敬礼をした。


勝利ジーク万歳ハイル!!」


皇帝は力強い声で挨拶した。


勝利ジーク万歳ハイル!!」


10万人以上の帝国民、同時に返礼と返答をした。


「アーモニア帝国民よ・・・帝国ライヒが再び偉大になる。唯一神であるシャラームの名の元で・・・」


新皇帝は8年前、帝国の辺境であるオストロニア地方に突如、頭角を現し、辺境伯のジェルミン・ヴァン・ゴブレスの庇護を受け、信者兼支持者を恐ろしい速さで増やした。


新皇帝は初老に差し掛かったこの世界の平均身長の男性で、整ったちょび髭と髪型、深い青い目をしていた。


力強い言葉を発言し、洗脳魔法より強力なカリスマ性で全帝国民を魅了した。


彼の教え、方針、政策は【団結アィンハィト】に集中していて、長く不況に疲れ、何の希望もない帝国民の心を鷲掴みにした。


いち早く彼の教えを実践したオストロニア地方はたちまち不況から脱出し、帝国一豊かな地域となった。


僅か1年に変貌を遂げたオストロニア地方は注目の的となり、その他の貴族が教えを乞うため、巡礼を始めた。


古くからシャラーム教が帝国内に存在していたが、人族以外の宗教、新興宗教、魔法の発展、そして最近話題になった魔法工学の発展により、衰えていく宗教になっていた。


その古い教えには確かに【不幸を招く外的要因に対して団結すること】を中心の教えだったが、【神敵ハイデン】の言葉がなかった。


新皇帝の新しい解釈、そして明確な【神敵ハイデン】の定義をしたことで一気に国教にのし上げた。


その【神敵ハイデン】はすなわち、人族以外の人型生物であった。


解釈には純粋アーモニア帝国人は神に選ばれた人族であり、他の人族より優れていることも明確にした。


名目上でアーモニア帝国人は黄色、黒、褐色の人族を引き、導く使命が課されていた。


人族以外に対して明確の被差別階級を作り、帝国民の憎悪を仕向けた。


人族以外は最初国外追放となったが、2年前から新皇帝は提案した【隔離トー】への強制移住を実施していた。


他人族や他人族との混血を明確に格下と認定し、帝国内の2級国民の地位にした挙句、公務職への従事を禁止し、単純労働に従事させた。


人族以外と婚姻した帝国民、その混血などを同じく離婚か、国外追放か、強制移住にされた。


その中、一部の有力貴族も含まれていたが、当然の如く、取り潰しとなり、新たな皇帝の教えに忠実の新貴族階級が形成された。


新秩序の一部の反対派はオストロニア辺境伯が皇帝を異世界から召喚された異世界人であるという噂を流したものの、全員が捕まり、極刑にされた。


オストロニア辺境伯の公式資料にボルマン市出身と記されていた。子供のごろに天涯孤独となり、長い間ボロンナウ市近辺のオーゴスタス森のレンジャーをしていたことになっていた。彼と同僚だった人たちは残念ながら魔獣の被害で全員亡くなったことも記されていた。


帝国の領土拡大が始まり、近隣諸国に移民していた帝国民とその末裔を保護する名目で吸収合併していた。


皇帝は即位して5年でアーモニア帝国を中央大陸ヨロベニアンの中心国家となり、最大の軍事力を誇っていた。


「立ち上がれよ・・・帝国の民、同胞であるオーロレリア公国を保護合併し、憎き【神敵ハイデン】から守ろう!!」


皇帝は今回の演説で隣国であるオーロレリア公国を吸収合併することを発表した。

10万人の帝国民は一気に喜びを爆発した。


演説を終えた新皇帝、帝国ライヒアクセントでエイドルフォ・ハットラー1世、ハットラー王朝の最初の皇帝は再び集まった民衆に対して、帝国敬礼をした。





















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