第33話 全市大会 2回戦

「2点目...」


俺は1点差なんて言葉を忘れて、2点目を突き刺していた。


それは美咲と話したからかもしれない。

初戦と違って不調もなく、前半戦30分で2点目入れた。


もう一度チャンスがありそうだったが、その前に前半戦が終わってしまった。


「修斗、ナイスゴールだ。と言いたいが、2点差もいらないぞ」


「知ってます。でも、俺はサッカーを楽しみたい。俺は1点じゃ満足出来ないです」


俺が言い切ると監督は諦めたように笑い声を漏らした。


「うちのストライカーは本当にピーキーだな」


「嫌だったら、下げても構いません。俺は試合に出ている限りゴールを狙います」


「おい、裕太」


「はい!」


水分補給をしていた裕太が監督の元に呼ばれ、俺の隣に立った。


何も言われるんだろうかと少しヒヤヒヤしたが、監督からの言葉は今の俺には、ありがたいものだった。


「全国の為にお前らのコンビネーションは控えめにしていたが、もういい、10点差でもつけてやれ」


「待ってました!監督!」


裕太もユースの話があったからか、この発言には目を輝かせて承諾した。


そうして始まった後半戦、俺はその後半だけで4得点を決めて、6対0での圧勝だった。


その帰り、言っていた通り試合を見に来ていた清水さんから声をかけられた。


「いや〜、いいものを見せてもらいました。高校サッカーとはいえ、全市でここまでの点差。流石ですね」


「それはどうも」


「そうだ、行く前にこれをお2人にも」


渡されたのは3枚の封筒。


「これは?」


「全国大会前にあるユースの強化合宿です。大会の邪魔にはなりませんし、参加するのは2日間のみです。よろしければ参加を」


「渡しておきます」


「小林君は参加する気は無いのかな?」


「分かりません。俺がそこでサッカーを楽しめるか、それだけが重要ですから」


「そうですか」


その後渡された封筒を2人に渡すと、即断で行く!と騒ぎ出していた。


「いやぁ、まさかこんなに早くユースの練習に参加出来るなんてな〜」


「ああ、修斗以上のストライカーがいるか分からないけど、楽しみだ」


慎二も俺と似たような感じで、強いストライカーと戦うのが楽しみらしい。


それでも、即断できるということは、プロになるのも視野に入れているんだろう。


「修斗君はやっぱり行かないの?」


「うーん、楽しめるなら行ったけど、どうだろうな」


「...楽しめる?」


「そう、俺はあのゴールを決めた時が1番好きなんだよ。スーパープレーで会場を湧かせるあの感覚。正直あれ以外気にしてない」


「そっか...」

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