第22話 馬鹿につける薬は無い

「修斗くん...」


「やめてくれ、その目は俺に効く」


美咲に勉強を教えて貰っている俺は、あまりの出来の悪さに美咲から呆れを通り越し、哀れみの目を向けられていた。


「何でサッカーの事は覚えられるのに、勉強はダメなの?」


「持って生まれたものの差と言うやつさ」


「うん、何も誇らしくないし、勉強はやれば身につくよ?」


「だとしたら、その考えは間違えている。俺は勉強してても身に付いていない」


「修斗くんが、いつ勉強しているか聞いてもいい?」


「......ほら、授業とか」


「なるほどね〜。これが授業受けている人のノートなんだ」


そうして美咲が見せてきたのは、何も書かれていないか、サッカーボールが書かれている俺のノートだった。


「...裏面にコートも書いてる」


「ラクガキするものじゃないからね?」


「ごめんなさい」


せめてもの抵抗で、言った言葉は逆に美咲を怒らせてしまう結果になった。


その為、俺は美咲から睨まれてしまっている。


睨まれているので、怖いとかを感じると思ったが、元々美咲は可愛いので、あんまり怖いとは思えない。


「全市...間に合うといいな...」


初戦はまたもや出られないかもしれないと思いつつ、目の前にある課題に目を落とした。


「大丈夫だよ。私がいるんだから、全市大会までには終わらせるよ!」


胸を張りドヤ顔をしている美咲だが、これは死刑宣告というものだ。


今の美咲は家にずっといる為、学校といつもの公園以外でも一緒にいるわけだ。


つまり、俺に逃げ場が一切無い状態で、勉強を永遠とやらされるという事だ。


「嬉しいけど、嬉しくない...」


「ほら、手を動かして」


「はい...」


それから数時間勉強をした俺は、ベッドに身体を沈みこませていた。


「もう、やだぁぁぁ」


「ほら、このペースで頑張れば...全市大会までには終わるよ!」


全市大会までは後1ヶ月半程、つまりそれまではこんな生活が普通でサッカーは...


そんな視線を美咲に送ると、美咲はにっこりと微笑んでこう言った。


「課題が終わったら、やろうね」


「何でこんなものを...」


逆転勝利させた俺に対して、あんまりの仕打ちでは無いだろうか。


よくよく考えれて見れば、裕太が点数を取らせるようなパスをしなかったのが悪いんだな。


よし、裕太に半分はやらせるべきだろう。


「今、人任せにしようとしたでしょ」


「...何でバレた」


「子供の頃から見てきてるんだから、それくらい分かるよ」


幼馴染でもある美咲には、何でもお見通しようで、俺の考えている事を先回りにして防がれてしまった。

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