第5話 危機回避

走り込みを始めてして2時間ほど、周りに人が居なくなってきた時、見るからにガラの悪い男が2人見えた。

(....美咲の...いや、見た事ないな)


美咲の家...というか組の人かと思ったが、今まで見たことの無い人相をしていた。


流石に危ない人かもしれないと思ったため、俺は美咲に駆け寄った。


「あの人たち美咲の知り合い?」


美咲は俺が近づくまで気づいていなかったようで、振り返りその姿を見ると首をゆっくり左右に振った。


「逃げるか」

「....うん、ごめんなさい」

「どうせやりすぎても、オーバーワークになるとこだったし、気にすんな」


実際はもう少し練習したかったが、普通に命の危機を感じるレベルの危ない人なので、逃げるのが吉だろう。


俺と美咲は不自然じゃない程度に回り道をして、追っ手を巻いていた。


「まだ来るのか」

「......」


だが、どれだけ経ってもそいつらは追いかけて来るため逃げ切る事も出来なかった。


(警察に行くか....無理かな)

お互い大事にはしたくない。


大会を控えている俺と家柄的な問題がある美咲は、警察を頼るに頼りずらい。


それでも本当にヤバくなったら、頼るつもりではある。


「着いてきて」

「....え...う、うん」


この尾行されている状態で美咲を美咲の家に送るのは、どちらにとっても危ないだろう。


もし、家に送れたとしても帰り道で俺が捕まる可能性があるし、そうでなくとも目をつけられる可能性がある。


その中で俺が弾き出した答えとは。


「着いた」

「え...ここって」


どこか分かっていないような声を出して居たので、俺はまだ尾行してきているやつにも聞こえるように大きな声を出した。


「俺達の家だよ!」


美咲は少し目を泳がせて、何を言っているのか分からないと言った様子だったが、すぐに理解して俺の芝居に乗ってくれた。


「そうだった!お兄ちゃん早く家入ろー!」

「お、おう!」


まさかの妹設定かと思いつつも、後ろから足音が遠ざかっていく音が聞こえたので、多分大丈夫だろう。


しかし念には念を入れて、家の中に入る事にした。


「母さんただいまー」

「おかえり〜、あら?そこの可愛い子は彼女?」


「違うよ。俺のファン第1号だよ」

「なーんだつまらないの。お名前はなんて言うの?」


「えっと、初めまして、吉原...美咲と言います...」


どこか遠慮気味になっているのは、俺の親に自分の家柄を知られたくないからだろうけど、俺と同じくそんな事を気にする人ではない。


「あ〜、吉原組の娘さんね〜。私は修斗の母の小林翠華です。ささ、入って入って〜」


母さんは美咲の家の事を知っていたようだ。

そして、知った上で家に招き入れようとしていることに、美咲は口を開けて驚いていた。


「えっと、いいんですか...私」


「気にすんな美咲。俺がどーでもいいと思ってるように俺の母さんも気にしてない」


俺が気を使わないよう靴を脱ぎ捨てると、美咲は少し瞳を揺らした後に、はにかんだような笑顔を見せた。


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