ジハード
ストーリークエスト開始、20分前に俺はすでに7時間の睡眠を済ませログインしていた。
「不安はある。クリアできなかった時のことなんて考えたくもない」
自身の人生を全て賭けるような一発勝負。会社も辞め、次の仕事の目処も立たない。負ければ準備していた時間は全て無駄になり、何も残らず、その上でなんの特徴もない会社員に戻り、社会の歯車になる。それすら果たせなくなる可能性もある。純也には漠然とそれに対する、不安があった。ほとんどの人が社会に感じる、諦め。自分の人生を変えられない要因、純也にはそれが不足していた。だからこそ
「どうせ三ヶ月分生きていける金はある。この一ヶ月で未来を変える。そして俺自身が
純也が恐れるのは停滞ただそれだけであった。それと同時に未来に変革を求めていた。
♢
とうとう始まった。ストーリークエスト。シフが最初に感じたのは異常なまでの造り込み、その威圧感とも取れる完璧さにあった。
フルダイブ型のゲームは開発直後ということもあり、グラフィックの造りが甘いゲームも度々存在する。しかし『エデンの果実』にはそれが存在しない。魔法やスキルがあり、さらにはゲームである以上このゲームが
『ストーリークエスト"夢を叶える聖戦"を開始しますか?』
ゲーム内音声が大きく響いた。シフの周囲にいた。ライバルとなる12人その全員が一つのアナウンスを聞いていた。そして二人を除き、全員がストーリークエストを開始する。
それと同時に、シフには次の目標地点がマップと同時に表示された。
目標地点で表示されている場所は全部で3つ。1つはこの街の出口を示していた。もう一つはこの街の冒険者ギルドを示している。最後の一つは聖教会を示していた。
ここで再びアナウンスが始まる。
『皆様には冒険者、聖職者、放浪人の3つの職業のうちから一つを選んで頂きます。また、選択した職業によってシナリオが変化します。そして、街の門、冒険者ギルド、聖教会に行くことでシナリオの概要を聞くことができます。それらを踏まえて慎重に吟味してください』
♢
アナウンスを聞いて俺は最初に聖教会に向かった。理由としては政治が絡むような気がしたからだ。最近読んだ小説でもそうだが、宗教が政治的な問題を引き受けたり、過激派によって信者じゃない人が殺される話なんていうのは、いくつも見てきた。
小説だから想像じゃないかって?この世界もゲームなんだからそういうことが起こってもおかしくないでしょうが。極力ボスの動きのパターンとかを検証する時以外頭は使いたくない。
そんな軽い気持ちを持って、チュートリアル的な扱いで俺は聖教会を訪れた。聞いたシナリオはフラグが盛りだくさんの邪悪極まりないものだった。
曰く、ヒューマンの国で聖教の信仰者を襲う存在がいた。調査の結果、その存在はデーモンを神と崇めるデモン教を信仰するものたちで、それがヒューマンかそれとも他の種族なのかも判断できないらしい。英雄ホンゴウの活躍によって一時的な平和を得ているこの街の平和をともに守ろうという話だった。
俺のこんな展開になりそうだな予想は主に3つ
1つ目、聖教の中に裏切り者がいる説。
誰が裏切り者か?そんなのをずっと考えるのはめんどくさい。こっちの商売とか諸々こいつは信用できるとか一々判断しなければいけないのが面倒くさい。仮にそいつと戦闘になった時に、俺の流してた武具を使われて難易度が上がったら流石に笑えない。
2つ目、本当に自分たちが正しいのかどうか疑わしい。もしかしたら俺が孤立無縁の独りぼっちになって教会関係者を皆殺しにしなきゃいけないかもしれないしね。
教会なら他のプレイヤーから情報を聞きやすいんじゃない?って言いたいのか。それで前二つの問題を回避できるんじゃないかって?残念このゲームには金の亡者しか(以下略)
3つ目、恐らくだがこのシナリオの最終目標は邪神の討伐だ。正確にはデーモンの神を討伐するのが目標になるだろう。国内の問題をどうにかしてからデーモンと戦うなんて時間がかかりすぎるんじゃないか?
以上3つの理由から1ヶ月での攻略は難しいと判断し、このストーリーを諦める。
他のストーリー全クリしたらサブ垢作って絶対にこのストーリー攻略しよう。だって考えること多すぎて何か手をつければいいからわかんないゲーム好きだし。シフがそう考えていたのはここだけの秘密。
♢
次に目指すのは街の門にした。放浪人、響きは最高に俺の中2心をくすぐるが悲しいかな、放浪人は職業サポートを受けることができない。そりゃ好き勝手に放浪するだけだしな。いわゆる縛りプレー用の職なのではと考えたが、冷静に考えた結果RPGから、オープンワールドゲームに変更するための職なのではないかと思った。オープンワールド、心は惹かれるがストーリーがめんどそうだった。恐らく、都度人助けをしなければいけないストーリーだと判断した。フルダイブ型のゲームはNPCとの会話に違和感がない。噂によるとかなり高性能なAIを積んでるらしいからそれが可能だと言われているが、だからこそコミュニケーションゲーになる可能性まで考えると、どうしようか考えてしまう。NPCのご機嫌取りとか絶対したくないしなぁ。
あとがき
現段階の構想では聖教は幕間とかで触れられたらいいよねって感じ。作者が幕間を書けなかったら、恐らくその時ハマってるアニメか特撮の見過ぎで時間がないせいです。
おのれディ○イドォ
設定語り
神に対抗するため悪魔も神へと至る。人の冒涜を、悪行を、見て見ぬフリをするなど慈悲深い王には到底不可能であった。神はヒューマンを愛し、多種族を見ず、デーモンはヒューマンを嫌う。両者が交わることは不可能であると歴史が示している。
上のやつの設定お漏らし
主人公がこれから選ぶシナリオ次第では遥か先の情報です。因みに聖教シナリオを選ぶとかなり序盤に出てくる設定。わかる人にはわかったよね。そうだよ聖教シナリオはプレイヤーの葛藤が死ぬほど多いシナリオだよ。下手すりゃプレイヤーの種族変更すらあり得るよ。どの種族になるかって?選択次第じゃデーモンにもなれるよ。やったね擬似悪魔体験ができるよ
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