煽りスキルMAXのメスガキ、異世界で無双するも時々敗北する件
八戸三春
~メスガキ、異世界で無双する~
「おいおい、マジかよ……」
私は目を覚ますと、見知らぬ場所に立っていた。空はやけに青く、風はやたら心地いい。遠くには石造りの建物が立ち並び、まるでゲームの世界みたいな風景が広がっている。
……いや、マジでここどこ?
確か、私はゲーセンで遊んでたはずだ。クレーンゲームの景品が取れなくてブチギレて、台パンしたら店員に注意されて、逆ギレしてたら……なんか、光に包まれたんだっけ?
「まさか、異世界転生……!?」
まるでなろう小説の主人公みたいな展開じゃん!いや、転生自体はいいけど、なんの説明もなしとか雑すぎだろ。てか、私死んでないよな?
「おお、転生者よ!」
突然、目の前に現れたのはヒゲもじゃのジジイ。派手なローブを着ていて、いかにもな魔法使いって感じだ。
「お前は選ばれたのじゃ。この異世界に召喚されし勇者として──」
「はいはい、勇者とかマジだるいんでパスで」
私はジジイの話を途中で遮る。
「えっ?」
「だって戦うとか面倒じゃん。むしろ、こっちの世界で自由に遊びたいんだけど」
「そ、そんな……!勇者として世界を救うのが使命では……」
「それ、強制?選択肢ない系?」
「うむ、勇者として戦うも自由に生きるも、お前の選択次第じゃ」
「じゃあ自由に生きるわ!」
即答。いや、勇者とかマジでやってらんねーし。そもそも戦闘とかダルいし、どうせならこの世界で楽しく遊ぶ方がいいに決まってる。
ジジイは「そんな……」とか言ってたけど、知るか。私はメスガキ。好き勝手生きるのがモットーなのだ。
◇ ギルドでの大暴れ ◇
さて、とりあえず異世界に来たのはいいけど、何をすればいいのか分からん。
とりあえず、この世界のことを知るために、それっぽい場所を探すか……と思ったら、ちょうど目の前に大きな建物があった。
《冒険者ギルド》
ふーん、ここがあの有名なギルドってやつか。たぶん異世界あるあるのアレだな。クエスト受けたり、情報集めたりする場所。
「ま、行ってみるか!」
扉を開けると、中にはゴツい鎧を着た男や、ローブ姿の女魔法使い、いかにもな戦士たちが集まっていた。酒場のような雰囲気で、まさに異世界のギルドって感じだ。
「おーい、おっさん!」
私はカウンターにいるギルドの受付らしき男に声をかける。
「ん?おっさんとはなんだ。私はギルドマスターだぞ」
「いや、見た目おっさんだし、おっさんじゃん」
「失礼な……!それで、何の用だ?」
「いやー、なんか異世界に飛ばされたんだけどさ。強い武器とか魔法とか教えてくれない?」
「異世界転生者か……ふむ、ならば登録すれば冒険者として活動できるぞ」
「へー、じゃあ登録するわ」
適当に書類を書き、冒険者としての登録が完了した。
「ちなみに、戦闘経験は?」
「ねーよ」
「……武器の心得は?」
「あるわけねーだろ。そもそも戦う気ないし」
「そんなのでどうするんだ……」
おっさんは呆れたようにため息をつく。
「まぁいい、試しに何かスキルがあるか確認してみよう」
そして、ギルドのスキル鑑定師が私の手をかざすと──
《煽りの言霊(ヴァーヴ・マジック)》
「……なんだこれ?」
「なんかヤバそうじゃね??」
ギルドの冒険者たちがざわつく。
「《煽りの言霊》……それは、口にした言葉が現実になるという極めて強力なスキルだ」
「マジで!?最強じゃん!!」
「ただし、能力の発動には条件がある……『相手が煽りに屈したとき』 だ」
「余裕じゃんwwwww」
私は笑う。要は、相手がムカついたり、動揺したりすれば、私の言葉が本当に現実になるってことだろ?メスガキ的には楽勝すぎる。
「おい、そこのデカいおっさん!」
私はギルドの奥に座っていた大男の戦士を指さす。
「なんだ小娘……」
「お前、頭悪そうだよなwww」
「なっ……!」
すると──大男の額に『馬鹿』の文字が刻まれた。
「うおおお!?なんだこれは!?」
「マジかよ!?煽っただけで現実になったぞ!?」
ギルド内が大騒ぎになる。
「くっ……貴様ァ!!」
「お、怒った?悔しい?www」
私はニヤニヤしながら追撃する。
「大したことねぇくせにデカいだけって、一番ダサいんだけどww」
バキィ!!
次の瞬間、彼の体が突然縮んでしまった。大男だったのに、子供サイズにまで小さくなってしまったのだ。
「うそだろ!?縮んだ!?本当に煽った通りになるのか!?」
「やっべー、私チートすぎwww」
私は大笑いする。
しかし、ギルドの男たちは真剣な顔になっていた。
「おい……やばくねぇか?こいつ」
「このままだと、このギルドが乗っ取られるぞ……!」
「な、なんとかしないと……!」
男たちはざわついていたが、私には関係ない。
「お前ら、全員チョロすぎwww」
──こうして、私は異世界で最強のメスガキとしての第一歩を踏み出したのだった。
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