テリック・レクリエーション 〜宇宙を再起動する少女〜
katura
平凡な日常
夕暮れが街を包み込んでいた。
朱に染まった空がゆっくりと群青へと溶けていく。
天原ユウは、自分の影が長く伸びるのを眺めながら、学校の正門をくぐった。
部活帰りの友人たちが笑い合いながら歩いていくのを背に、彼は一人、自転車を押しながら歩道を進む。
「おーい、ユウ! 今日も帰るのか?」
ふと声をかけられ、振り返る。バスケットボールを片手に持ったクラスメイトの瀬川が、軽く手を上げた。
「おう、もうちょっとで日が落ちるしな」
「たまには寄り道しろよー。お前、放課後の楽しみとかないのか?」
「別に。家に帰るのが楽しいやつだっているだろ」
適当に流して、自転車のハンドルを握り直す。
瀬川は苦笑しながら肩をすくめ、「真面目だなー」と言い残して、仲間たちの輪へと戻っていった。
ユウはふっと息をつく。
何気ない日常。変わることのない景色。
今日もまた、そんな一日が終わろうとしている。
けれど——
この日常が、たった数時間後には壊れることになるなんて、そのときの俺は知る由もなかった。
西日を浴びながら、ユウは歩き続ける。
風が、木々の葉を優しく揺らしていた。
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