122フォスターの孫

「しかし、拓の空間魔法が状態保持まで出来るとなると、本当は上級魔導士なのか。」


ヘルガが疑問に思い聞いてくるので、

拓は保有魔力量の多さと、初級魔導士程度の魔力しか出力できないことを話すとヘルガが笑いだしてしまった。


「本当に拓は凄いのか、抜けているのか分からないな。」


ヘルガの言葉に全員が大笑いしていた。



次の日、ドクスはアーネスの馬車に乗り込み村を出発した。

出発の前に拓が呼び止め、ゲートを開いて金色の液体が入った瓶、今回使用した補助薬を何個も取り出して渡す。


「拓は、この補助薬の値段を分かっているよな。」

「予備で用意した分です。俺が持っていても意味が有りませんから。

 治療で使えるようでしたら、使ってください。」


ドクスは拓をマジマジと見て


「フォスターさん、やはり拓は貴方の孫だな。

 よし、これを使って、大量の古文書を手に入れてやる。

 ヘンデリック侯爵、引き籠れるように拓の住んでいる小屋に客間を用意してくれないか。

 ガラの飯も美味かったし、研究するには完璧な環境だ。」


予定外の事を言われ唖然とする拓。

ヘンデリック侯爵は拓が頷くのを見て、増築する事を約束した。

フォスターは満面の笑みのドクスを見て、やれやれと首を横に振っていた。



そして、ヘンデリック侯爵も自分の領地へと向かって出発した。

その日の野営から、拓はテント型の小屋を1つ出した。呆れるガラに


「爺ちゃんに聞いたら、テント3つ分の収納力が無いと、状態を保持することなんて出来ないって。

 だから2つまで出しても問題なし。」


拓はドヤ顔で話すが、ガラは気が気では無い。

周囲からも、半分あきれ顔で見られていた。


ちなみに、フォスターの収納量はテント型の小屋7個分

ドクスは5個分位みたいだ。

拓は10も収納しても、まだまだ余裕が有る。

問題ないように考えているみたいだが、自分の主の事だから何処かでバレてしまうのではないかと。

きっと何処かでやらかしてしまうだろう。

ガラの心配を知らず、拓は話を続ける。


「ガラ、この移動中でも少しでも多く薬草を採取するよ。

 その為に、しっかり寝て疲れを残さないようにね。」


その日の夜は、拓とガラは大量に移動中の料理を作っては空間魔法で収納していた。

そして、次の日の朝は未だ暗いうちから起きだしていた。


「おはよう、拓。」

「私も一緒に行こう。」


サーシャとヘルガも起きてきて、一緒に薬草採取に付き合ってくれた。

薬草が多く取れる場所が有れば滞在時間を延ばし、時間をかけて帰ってきた。

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