3バカはラッキースケベに全力です!(それをラッキースケベと言うのかはともかく、一括りにしないで欲しい)

「きゃっ」


 風のいたずら。女の子達がスカートの裾を抑えた。いや、君らはどうでも良いよ。中学生クラスメートの下着なんか、興味ないから。でも、高校生のお姉さんのは本当に眼福で――。


「おい、物部。マジマジ見るな」

しんは興味ないの?」


「……ない」

「今の間はなにさ?」


 クスクス笑う。がさつな物言いのくせに、変に紳士的なのだ浅川辛あさかわしんって男は。一方の足利庚あしかがこうは、僕なんかよりよっぽど、ガン見である。まぁ、相手が榊原さんとなれな仕方ないか、と思って上げる。こうは、榊原さんに対して、やけに拗れているからね。


 ただ、榊原さんだけ、スカートが捲れないのは不自然だ。庚のあからさまにガッカリな顔。まぁ、でも期待するだけ無駄というもので。異国の王子、アステリア・ユグドラシル・ウィンチェスター。の王子が、エスコートしている女性に恥をかかせるわけがない。

 ただ、庚にはそれがお気に召さないようで――。


「そういえば、こうしんが作った、新式の呪符が面白いよ?」

「また、ろくでもないモノだろ……」

「スカートもズボンもめくっちゃう呪符だって」

「バカ、霊衣を無効化する呪符だ」

「脱がすのは一緒じゃん」


 僕は苦笑する。しんはそうやって呪符製作に一生懸命だが、僕ら中学生で書ける呪なんて、たかが知れているのに。それでも、一生懸命、頭をひねる、そのスタンス。


(無駄とは思うけれど、僕は嫌いじゃないよ)

 そう心の中でえ呟いてあげる。


「良いじゃん」


 一方のこうは、ウィンチェスター殿下に対抗心を燃やしている。この

殿下に呪をぶつけようとしているのが、見え見えだった。


「あ、バカ――」


 辛が声をあげるが、時すでに遅し。

 呪はすでに起動していた。


 だが、そこはウィンチェスター殿下。指で宙をなぞるように踊らせて――。


 動作モーションはそれだけ。それだけなのに、感じたのだ。まるで空気がピンと張り詰め、温度が下がったのを。確かに、この瞬間――呪は返された。





 風が、僕らを煽る。










「なんで?!」


 ペロンと、庚の制服のズボンが風に舞い、そして容赦なく飛んでいく。

 周囲の女性の悲鳴で、耳が痛い。

 そして榊原さん、ガン見――あ、殿下にその手で目を塞がれた。




「なにやってんだかねぇ」

「……これは改良の余地があるな」

「物部、浅川! 言ってる場合じゃないだろ?! 絶体絶命の危機なんだけど?」

「君が社会的にね」


 僕はケタケタ笑う。

 陰陽師きっての三バカと言われた僕たち。その後先考えないおバカな行動まで、異国の歴史書に記されることになるなんて。そんなこと、露にも思わない14歳の春だった。




________________



次世代呪符製作倭人伝 シン・アサカワの軌跡 ~バカも寄れば文珠の智恵~より引用。

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