タマ! 「にゃん」って、鳴いて!(閑話:とある眷属妖精の物語⑦読了推奨)


「タマ『にゃん』って鳴いて!」

「はぁ?」


 タマこと、大日本皇国こちらの魔物――妖体あやかし、玉藻御前は顔をしかめる。ま、そりゃ当然か。妖体に猫の真似事をしろなんて、この国の陰陽師史上

(という表現が良いのかどうか分からないが)希有な出来事に直面している。


 そして相手は、気脈を司る御神木――世界樹である。こちらの言い方でいえば、土地神様とも言えるわけで。微妙な空気が、この場を支配していた。


「桜那、無理強いはよくないと思うよ?」


 櫻のターン。まずはジャブ。


「ヤ。今日は猫ちゃんの日だもんっ猫ちゃんが良い!」


 桜那のターン。ママ、大好きっ子の桜那が、今日は珍しく反抗している。


『……で、どうしたのさ?』


 次に、ボクが聞いてみる。こういう時は、兎に角、桜那の感情を吐き出させた方が良い気がするんだ。


「えりゅ……!」


 はいはい、泣かないの。抱きしめ――苦しい、ぐるっ、つぶれ、潰れる!


「えりゅ、えりゅ、えりゅ、えりゅっ」

『わか、分かったから! 分かった!』


 ボク、新米世界樹に危うく抱き潰されるところだったよ。






■■■






 事の発端は、とてもくだらなかった。

 近所の子が、桜那に自分のペット自慢をしたことが、はじまり。


(某狐談:妾はペッドではないっ!)


 なんでも血統書付きの、由緒正しい猫だとか。


(某狐談:妾、九尾の狐だから、むしろ由緒正しい?)


 ご飯を食べる前に、招き猫のようなポーズをするらしい。


(某殿下談:うちのは「いただきます」をするが?)

(某狐談:妾は猫じゃないっ! 狐じゃ! 九尾の狐なんじゃ!)


(某聖女談:アスは煽らないの。どちらの子も素敵だよ、って言ってあげることも大事だと思うな。桜那は、その子を見てどう思ったの?)


(某世界樹談:可愛いと思ったの……)

(某聖女談:だったら、それで良いかもね?)


(某殿下談:それなら……どうせだ。10尾の狐の本領発揮、猫に化けてやってのご対面はどうよ?)


(某狐談:勝手に尾を1尾、増やすな。じゃが……それは面白いのう)

(某殿下談:だろ?)

(某聖女談:ちょっと、アス? ほどほどにしてよ?)





 櫻って、本当に王子に対して甘いんだよなぁ。

 王子あいつがほどほどにするワケないのにね。







■■■







 ――哺乳綱食肉目ネコ科オセロット属、野生の食肉類。オセロットが街中に出たと、大騒ぎになるのは、また別の物語。















 なお、ことの詳細は、ウィンチェスター王家公文書館、2階に所蔵。新訳【明日からできる聖女の嗜み、10のこと】を参考にされたし。






________________


オセロットは100センチ程度の、中型の肉食動物で、ヤマネコの仲間です。

絶滅危惧種に指定されているため、現実に飼育は困難です。

その点を含め、聖女様はご苦労されたようでした。


参考サイト:あにまろ~る

オセロットは飼育可能?特徴や性格・見られる場所も併せて紹介

https://animaroll.jp/cat-habits/cat-knowledge/1135985


2025.2.22

猫の日に寄せて

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