最弱ギフトのF級探索者は鋼の心を持っている
熊の蹄
第1話 プロローグ
真っ黒に光っている月、崩壊したビル群、赤い目をした凶暴な生物。
この日を境に世界で一番平和な都市だった東京都が一夜にして世界で一番危険な都市に変わってしまった。
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崩壊したビルに囲まれた道路で少年を抱えた男は全力で走り、その後ろを赤い目をした凶暴な生物たちが追いかけている。
「はぁはぁ!くそっ!」
男は全力で逃げてはいるがその生物との距離は縮まるばかりだ、そしてその生物たちと男との距離は20メートルぐらいまで迫ってきた。
「父さん……大丈夫!」
「ああ!大丈夫だぜ!ほらこの通り」
そう言いながら男は不安が少年には伝わらないように笑って誤魔化したが、少年もそれを察している。
(くそ!このままじゃ、俺も一心も死んじまう………あれを使うしか!)
覚悟を決めた男は走るのをやめ、崩壊したビルの瓦礫に隠れて、少年を離した。
「一心、これから言う事をしっかり守れよ!」
「………うん、わかった!」
「今から俺はあの悪いやつを倒す、だから巻き込まれないようにあそこのビルに隠れてくれ…わかったか?」
男が指をさしたビルはまだ崩壊していない、少なくとも半日は崩れ落ちないであろうビルだった。
「父さんは?」
「………父さんはあの悪いやつを倒したら合流するから安心しろって!」
「うん!だからあんな悪いやつ絶対倒して戻ってきて!」
「あっ!ちょっと待て、最後にこれ」
そう言って男は自分の首にかけていた指輪のネックレスを子供の首にかけた。
「一心!一つだけ覚えとけよ、どんな事があっても心の赴くままに生きろ!」
「………うん!」
そう言って少年はネックレスを渡す時に言っていた最後という言葉に引っかかりつつ走って男が指をさしていたビルに入って行った。
「さあ、始めようか!くそ魔獣共!」
『心炎』
すると男の体を中心に炎が現れ、一瞬でビルや生物たちを包み込んだ。
「ここから先は………死んでも通さねぇからな!」
それから10時間後、無事に少年は保護され、そこから10メートル離れた場所に真っ黒になった生物たちの死体が発見されたが、人の死体はどこにもなかった。
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10年後
朝の日差しが入った明るい寝室、そこにドンドン!と階段を女性が登ってその寝室のドアを勢いよく開けた。
「ちょっと、一心!早く起きなさい!」
その声でベッドで寝ていた男が起き上がる。
「はぁーもうちょっと寝かせてくれよ、姉ちゃん」
「もう10時になるだけど!」
「俺からしたらまだ10時なの」
「こんなにダラダラさせるために、高校に進学しないっていうアンタの気持ちを尊重した訳じゃないんだけど!」
「はいはい、もう起きたから」
「起きたんだったら、さっさと下りて一緒にご飯食べるわよ!また寝たら………わかってるでしょうね」
「分かったから、ほら先に下に行っといて」
そして女性は怒りながら、階段を力強く下りていった。
「はぁー、もう少し寝ていたかったのにな」
この男、
「あーあ、俺って何がしたいんだろなー、もし父さんが俺と同じ立場になったらどうしてんだろう」
そう言いながら寝室のドアを開いて階段を下りていった。
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