第16話 セッティ怪文書の送り主を知る

 公爵家の領地に馬車が訪れる。その馬車は、公爵家の家紋が入っており屋敷にいる全員が外で出迎えた。到着した馬車から降りてきたのは、オパール公爵ブリュイヤールだった。


「ネージュ~お父様だよ~」

「おとうさま!」

「ぐっほぉ」


 全力で走って抱きつくネージュにブリュイヤールは、一瞬後ろに倒れかけるがあと一歩で耐えた。


「旦那さま、王都の方はよろしいのですか」

「グラソンに任せたから大丈夫。あとネージュお土産だよ」


 ブリュイヤールは、クリーム色のウサギのぬいぐるみを渡した。


「うわぁ、うさちゃん。お名前は?」

「ネージュがつけてあげてくれないか」

「それじゃあフルーフね。ありがとうおとうさま」


 ネージュは、ウサギのぬいぐるみを抱えてご満悦だ。

 その時馬の嘶きと共に黒髪の少年がやってきた。少年は、ブリュイヤールを見ると馬から降りる。


「オパール公爵お久しぶりです」

「久しぶりだがなぜミュスクルの次男がここに…?学園にいるはずでは」

「学園が夏休みなのでセッティに会いにきました」

「セッティに?」


 ブリュイヤールがセッティを見ると心底嫌そうな目をしていた。


「先週セッティに送った手紙に書いたんだけどな」

「ミュスクル様から手紙を受け取っておりません」

「手紙が来てない!? 先月から週一でずっと送ってるぞ」

「来てないものはきておりません。……ってまさかこの手紙じゃないでしょうね」


 セルヴォは、あの怪文書を出すと顔を綻ばした。


「そうそれ! なんだ届いてるじゃん」

「こんな文字読めません!」

「そういえばグラソン先輩に字が汚くてテストどころじゃないって言われたな。読めない字で送ってごめん。自分の字で書かなきゃ誠意が伝わらないと思ったから」


 頭を下げるセルヴォにセッティは、毒気を抜かれる。やったことに悪気はなくタチが悪い。


「俺は、剣術以外は馬鹿だからコモン子爵令嬢が怒ってる理由がわからない。教えてもらえませんか」

「旦那さま、職務中に申し訳ありません。席を外す許可をいただけますか」

「セッティは、いつも真面目にネージュを見てくれているから問題ないよ。ねっ、ネージュ」

「うん、おとーさま」


 セルヴォは、ニコニコ機嫌よく笑うネージュに不思議そうな目を向ける。セルヴォの知っているネージュは、あんな無邪気な笑顔をしない。


「話すなら応接室を使うといい」

「ご配慮ありがとうございます。付いてきてください」

「あっ、はい」


 何かおかしいと感じつつもセルヴォは、いま目の前にいる好きな人に注意がいってしまいわからなかった。

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