第12話 私は桃瀬からお願いされる

「も、桃瀬さん?」


私は目を丸くする。なんでここに?


さっき、別れたはずなのに………

目を丸くする。後輩集団に引っぱられていたはず………


「つけてました」


えっ、なんで?


別れたふりして、コソコソついてきたとか……竹刀や防具を持ったまま?


なにげに体力あるな〜


明日も学校で部活なのに、疲れない。

そんなに月夜のこと知りたかったのかな。


「それでなに?」


私に声をかけた理由にはならないよね。

 そんな、桃瀬はモジモジして、私をみていた。


 さっきよりも、別な意味で緊張してしまう。


「あ~の。香坂先輩は…………」


 言いよどむ桃瀬にもしかして、私が月夜をだましたことがバレてしまったのかも………

 手に汗がにじむ。


「二人は付き合っているんですか……」


 そっか……そう……


 腰が抜けそうになる。

 バレてない、安堵の息をついた。


けど、表はバレていたみたい……


「そう……みえた?」


 平気そうにごまかすけど、これは挑発になっているような気もする。

 

 桃瀬は顔を赤くして、私を見てる。

 

「手のつなぎ方……友達以上にみえました」


 み、見られていた!!!


 私の頬も赤く染まる。


「………」


 それは答えみたいなもの、だけど。


「なにかいったらどうですか?」


 答えをもとめる桃瀬。


 そして私は、息をのみ。


「ただの、幼馴染だから」


そんな答え方をしてしまっていた。

 恋人同士なのに、まだかくしてしまう。


「でも、香坂先輩って、月夜先輩のこと好きでしょ?」


 やっぱりバレているんだ。

 

 これを否定すると桃瀬にとられてしまう。

 危機感が私につのる。


 口元が絡まってしまう。

 どもりそうな口を静かにひらいた。


「……私は好き……月夜が好きなの……」


 私は思いっきり吐露していた。


 はずかしくてはずかしくて、うつむいてしまう


「…………ライバルですね……」


 素直な子。これで同じ人が好きじゃいなければ。

 

 桃瀬は真剣に私をみてた。

 

 おもわず心が痛む。


 なんで……わからない痛み。心が。


「敵に塩じゃないですけど……私にお弁当作りかたを教えてくれませんか」


 いきなりの頼みに私は目を丸くする。

 

 私が月夜にお弁当を渡しているの知っていっているんだろうけど、


「私のクラスで…お弁当出し合うですけど……私は……その苦手で」


 たしかに、下手だと辛いよね……


 他のところのように親に作らせたらいいのに……いや、親が作ったお弁当をもってきてるだろうに、親も下手なのかな?


 けど、女子力をアピールするにはいい機会。


 月夜にアピールしても私を越えれるわけないよね。

 

 とゲスイ笑みをうかべる。


 うまくいけば桃瀬に恩を売れるかもしれない。

 

「……いいよ」


 私は顔をそむけて承諾する。


「ありがとうございます!」


 すると、桃瀬が私の手をにぎりブンブンと手をふりまわす。


 振り回されないで。

 

「家、どこなんですか」

 

 えっ……もう、暗くなるよ。今でも五時すぎてるのに、これから……うちの剣道部って強引な人多くない。


「もう、遅いから、帰って」


 私の説得にも、桃瀬は首をかしげている。


 なぜ、伝わらない。


「部で、だいたいこんな時間になりません……」


 それもそうだ。練習時間は短いし、そうなってしまう。


 下手したら、これ毎日……


「えっ!」

 

 私が呆れていると桃瀬は家の前でとまる。


「あっ、香坂。ここですね。お邪魔します」


 表札で簡単に場所を特定して、家のインターホンまで押してしまっている。


『はい。香坂ですけど』


 母親がでた!


「ちょ! お母さん。私だから、友達つれてきちゃって、今から台所大丈夫?」


 お母さんもとまどったみたいだけど、家に入る許可は取れた。

 

 なんで、許可とれるの!!


 もう、逃げられない。そう……巻き込まれてしまった。

 

 という事は、これから私は月夜と二人だけの帰り道は……

 ずっと、桃瀬はついてくるとなってしまった。


 このお邪魔虫が……

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