第4話 私は月夜に守られる

 私史上、一番に幸せな日かもしれない。


 そう、両想い。そして、恋人同士なのを隠している私たち。


 最高~


「ふふふふ♪」


 すると、異常に近い距離に月夜が耳元に近寄ってくる。


「つ、月夜?」

 

 ドキドキする私に、目をつぶると。


「授業中だよ」


 あっ、月夜に言われて今の状態に気づいた。

 

 そうそう授業中。 

 なれない月夜の為に、私は席をくっつけている。


 けど、フォローされたのは私だったり。

 私の方がいつもはしっかりしていたのに、なんだか月夜を困らせている気がする。


「聞かないとメッだよ」


 などとお茶目に指でシィとかえしてくれる月夜。

 顔が赤くなってしまう私。

 

 なんで、こんなにお茶目なのよ!

 

 私はドギマギしてしまう。

 

 そうだけど、私は月夜を守らないといけない。


 月夜は記憶喪失で大変だと推測していたが、日常生活に支障はなかった。

 さらに、勉強に支障はあまりない。

 もともと、月夜はしっかりしたし、病院で復習をしていたので問題ないけど。


 人間関係では誰も覚えていないけど、病室で何人かと会い顔と関係は覚えていたみたい。


けど、戸惑いがみえる。


 私もしっかりしないと、にやけるのはダメ。

けど、にやついてしまう。


そのたびに月夜が心配している。


 そこにチャイムが鳴った。

 

「よし、授業はここまで。お楽しみのお昼だ」


先生の言葉に、生徒たちがザワザワと動き出す。


早く動かないといけないと。


「月夜、立って!」


「えっ、なんで!」


キョトンとする月夜、私は自分のカバンを持って、手を引くが。


動きが遅くて、あっという間に。


「天羽さん! 大丈夫だった?」


「ねぇ、天羽さん、私のこと覚えてる」


と賑やかにクラスメイトが月夜の周りを囲んでいく、休み時間のたびに囲まれているのだから、学んでほしい。


「ねぇ、天羽さんいる?」


「天羽先輩いますか?」


しかも、別のクラスや後輩、先輩までも集まり月夜目当てでドンドンと集まってしまう。


「ねえ、うちの部活の助っ人にきてよ」


女子校の王子様は人気者すぎて、困る〜


普段は話しかけることもできない月夜に、今のうちに印象を残そうとしてるのだ。


みんな私と同じ事を考えていたわけ。


私は月夜の手を引くが、難しけど、お弁当が食べられない。


人混みにはじき飛ばされる私を月夜の手がつかむ。


「ごめんね。朝日行こうか」


私にまで王子様ムーブで連れだしていく、どこに行くかわからないだろうに。


なんで、こんなにうちの彼女はイケメンなんだろうか……女性でもカレなのだろうか?


初めての恋人だから、わからないけど、なんだか優越感……


そして、ついてこようとする生徒たちを振り切って走りしりだす。


「天羽さん! ちょ!」


月夜の長い脚で一気に駆けだした。

私は引っ張られるようについていくだけ。


「ちょ、ちょっと! まって!」


おかしい? 入院してる間でも私は部活でがんばっていたのに……月夜のほうが速くない?


「廊下は走らない〜〜!」


怒気をふくむ先生のお叱りすらもエコがかかって聞こえる。


『ごめんなさい〜〜!』


きっと、先生もエコみたいに聞いていたに違いない。


生徒たちを前に私はとても優越感を抱いて笑ってしまう。


私を優先してくれてる。なんだかうれしい……





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