約束

獅子2の16乗

第1話 寿々花がいないからちょっとさびしいよ

 あきらに会いたい。

 会って声が聞きたい、笑顔が見たい、手を繋ぎたい、キスしたい……



「……ん」


 いけない、こんなことしてちゃ……


 よーし!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


『おう、寿々花すずか。どうした』

「どうしてるかなって思って。そっちでの生活はどう?」

『授業は面白いし、友達……男友達もできたし、時々はやてさんちにも行ってる。でも、寿々花がいないからちょっとさびしいよ』

「ちょっと? 私と毎日キスしてないとダメだったのに……ガマンできてるの?」

『ま、毎日ってことはなかったと思うけど……寿々花の顔を思い出してガマンしてる』


 なんでどもるの?


「どもってるけど本当に大丈夫?」

『……ごめん、ウソつきました』

「いい子ね。ちゃんと白状して」

『ガマンできてないです』

「やっぱり……まさか、そういうお店にいってないよね!」


 風俗嬢なんかにうつつを抜かしてたら許さないんだから!


『そんなお金ないし、何よりも寿々花に対する裏切りだよ』

『ムラムラしたら、体を動かして発散するのが一番だと思って、颯さんの妹の琴菜ことなさんに合気道の道場を紹介してもらって、そこに通ってる』

「合気道?」

『うん、ともえ塾っていって、琴菜さんのお友達んちだって』


「健全な発想だと思うけど、大丈夫?」

『小学校のころ柔道の道場に通ってたからついていけてる』

「ふ~ん。それで効果は?」

『完全ではないです。やっぱり寿々花がいないと』


 よし、突撃!


 ♪


『ごめん、お客さんみたいだ。ちょっと待ってて……誰だろ』

「……」

『すぐ戻るから、ちょっとだけ待ってて』


 晶ったらサムターンだけでチェーンロック掛けてないんだ。いつなんどき悪者痴女が押し入って来るかもしれないのに不用心ね。


『はーい、どなた……えっ寿々花!』

「来ちゃったよ。びっくりした?」


『えーと、とにかく上がって』


 うん、まずまずきれいにしてるね。さすが私の晶。

 女の臭いもしないし……ヨシヨシ


『びっくりしたよ。来るんなら連絡くれよ』

「いきなり来ちゃダメなの? 私に見られたら困るものでもあるの?」

『そんなのないよ。ただ掃除とか』

「十分きれいだと思うよ。それで、ご飯は食べた? まだだったら作ってあげるよ」

『食べてないけど……いいのか、特急で2時間だろ。疲れてるんじゃないか?』

「大丈夫よ。ちょっと冷蔵庫を拝見」


 あきらって自炊してるから結構冷蔵庫の中身が充実してるのよね。


「これなら豚の生姜焼き寿々花すずかスペシャルができるよ。待ってて」


 …………


『「いただきます」』


『美味いよ寿々花!』

「よかった」

『コクが強い……ように感じるけど』

「ミリンじゃなくて黒糖を使ったのよ」

『なるほど、これまで食べた中で最高に美味しい……味噌汁もコマツナのおひたしもすごく美味いよ。ありがとうね』

「喜んでくれて嬉しい。練習したんだよ」

『練習したの?』

「母が先生で、犠牲者は兄ね」

『おかあさんとおにいさんが』

「晶のためだって言ったら、喜んで協力してくれたよ」

『みんなによろしく伝えておいて、美味しくて幸せと。おとうさんにもね』

「うん。ありがとう」


 …………


『「ごちそうさまでした」』


『洗い物は俺がするよ。DVDでも見てて』


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


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