何でも作れる箱でのんびり異世界生活する筈だったのに、何故こうなった!
けもさわこういち
プロローグ:ある日の異世界の生活
雲一つ見えない空は青く澄み渡り、頬を吹き抜ける風は爽やかで心地よく
昼寝の一つでもすれば気持ち良く眠れるだろうなぁと思うこの陽気、
しかし今の俺、山中 久志(やまなか ひさし)は休んでいる暇はなかった。
「ちょい右ー、ちょい右ー、もうちょい右ー、OK! クレーン下して!」
俺の指示に従って、無駄な装飾や機能を一切省いた銀色に輝くアンドロイドがクレーンを操作し、巨大な柱のような機材を慎重に下す。
機材が下ろされた位置が設計通りなのを確認し、待機しているアンドロイド達に指示を飛ばす。
「そいじゃ第二工程に移るよ、設計図通りにこの機材のこの赤と青の穴に、その色と同じケーブルを接続して」
『『『了解シマシタ!』』』
何の装飾の無い球状に緑のカメラアイだけが付いたシンプルな頭に、
緑十字に『安全第一』と書かれた黄色のヘルメットを被ったアンドロイド達は一斉に敬礼すると、
俺の指示したとおりに機材へケーブルを接続し始める。
……本来なら、こういった作業は俺自身がやるべき事なのだが
何せこのケーブルの重さは担いだだけで肩が抜けそうになる位に重たく、とてもじゃないが普通の人間の俺には扱えない。
しかし、今作業しているアンドロイド達は、その重さを苦にしないどころか、
人間では持ち上げる事も出来ない機材を軽々と持ち上げて様々な作業を行うことが出来る。
このアンドロイド達は、俺が発想して製作した物で、その性能はまさに人間以上だ。
流石は俺の発想力、こいつ等を考え出して本当に良かった。
『おい、ヒサシ、貴様の言っていた物の配置はこれで良いのか?』
自分自身の発想力の産物に対して自画自賛している所で、
ぬっと姿を現したのは、大きな家程はありそうな巨体に複数対の角を有する頭部の、大きな翼と力強い身体の如何にも強そうな漆黒のドラゴン
彼は鋭い牙の並ぶまさしく厳つい顔を、先程俺が『この機材をこの図面通りに並べて』と頼んだ場所へ向けて言う。
それに対して俺は機材の配置を見て確認した後、全く恐れる事なく漆黒の大きなドラゴンの金色の眼を見て正直に言う。
「おお、ありがとう! ヴァリアウス! やっぱこういう力仕事はお前が一番だ!」
『ふん、この我をおだてたって何も出ないぞ。それよりヒサシ、次の作業は何だ?』
「次はこの機材をこの図面の位置に置いてくれないかな? 僅かでもずらしたら駄目だからな」
『ふぅ、ヒサシも龍使いの荒い人間だ……まぁ良い、我ならこれ位簡単にやってやる』
大きな漆黒のドラゴンは、俺の言葉に呆れたようにため息を吐くと、ゆっくりと指定された場所へ向かう。
大きな漆黒のドラゴン――ヴァリアウスとは何だかんだあって長い付き合いだ。
……とは言っても俺がこちらの世界に来てからだからまだ3か月も経っていないのだが。
「おーい、ヒサシ―! 大きなストーンヘッドボアが取れたぜー!」
「ヒサシさーん、これでいっぱいお肉が食べられますよー!」
ふいに掛かった声に振り向いてみると、
つい先ほど仕留めたであろう、頭の一部が石の様な甲殻に覆われた猪の巨体を片手で掴んでやってくる豹の獣人の少女と、
その手伝いをしたであろうスナイパーライフルを背負ったエルフの少女がこっちに向かってやってくる所であった。
彼女らもまた、この世界にやってきて奇妙な巡り会わせで出会い、一緒に過ごす事になった仲間である。
今日は肉料理がたっぷり出来そうだな、これはちょっと楽しみになってきた。
「おー、ヒサシ、随分と作業進んだんじゃねぇか! こいつが出来たら何ができるんだ?」
「今度はもっとすごいのが作れそうですね……!」
豹の獣人の少女とエルフの少女は、進みつつある『ある物』の作業を見てそれぞれ感嘆の声を上げる。
それに応える様に、俺はまだ工程の半分までしか進んでいない巨大なそれを見上げ、笑みを見上げて言う。
「こいつが完成すりゃあ、魔法より早く空を飛ぶ乗り物や金持ちが住むような豪華な家だって作れるぜ」
俺が見上げている建造中の物。
それは材料と発想さえあればどんな物でも作り出す、超巨大な超高機能超高精度3Dプリンターであった。
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