3月19日 たすけて
ノートを見つけた次の日の午後、こっそりとリビングの隅でノートを開いてみることにした。お兄ちゃんが自分の部屋で何かしている間、私はノートに書かれている言葉をひとつひとつ思い出しながら、それらを並べてみた。すると、意外なことに、隠された文章が浮かび上がった。
「お兄ちゃんを助けて」
その瞬間、私は背筋が凍るような感覚に襲われた。どうしてこんなことが書かれているのだろう? どうしてお兄ちゃんを助ける必要があるの? 何かが起きている、そんな気がして仕方なかった。
その後、お兄ちゃんがリビングにやってきて、私がノートを見ていたのに気づいた。でも、お兄ちゃんは何も言わずに黙って、私に近づいてきた。そして、少しだけ静かに言った。
「莉奈、気づいてるんだろ?」
その言葉に私は驚き、どう答えればいいのか分からなかった。お兄ちゃんの目には、いつもの反抗的な表情ではなく、どこか切なさや不安がにじんでいた。
「実は……」
お兄ちゃんが言葉を続けようとしたその瞬間、私は思わず口をつぐんだ。
「どういうこと?」と聞きたかったけれど、何かを予感させるその空気に、言葉がうまく出てこなかった。
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