第4話
コウヤは手袋を外した。
すると守護者はレオとリーファには目もくれずコウヤに襲いかかった
「っ!やっぱ来るか!」
どうやらコイツは俺等を縄張りを荒らす侵入者として見てる。
でも洞窟にいるから目は退化しててよく見えない
だったらどうする?超音波で探知するんだ
魔鉱石を探すときのように魔力を探知しているから手から常に魔力が出ている俺を一目散に追ってくるだろう
「レオ!俺が引き付けてる間にリーファを回復させてくれ!」
「獣と人の構造が混ざってやりにくいな…時間かかる!耐えてくれ!後はここで光ることしか出来ん」
「十分だよ、俺に任せ」
答える隙もなく守護者は爪でコウヤを引き裂こうとする、コウヤは持っていたナイフで応戦するが、硬い皮膚に弾かれて根本から折れてしまう。
「え…マジで?」
コイツの皮膚はこんな硬いのか…?
いや考えにくい、ただのフライズには余裕で効いた。
考えられる可能性は…
「防御魔法か?」
守護者はお構いなしに攻撃を叩き込んでくるが、なんとか自分が着ている服のおかげで軽傷で済んでいる。
超音波も防御魔法がかかっているから無事だったのだろう。
「さてどうする?俺の攻撃は効かないけど、あっちには超音波がある…」
俺が出来ることは等価交換、幸いレオは治癒に集中しているから使ってみても見られる心配はない。
今値段や価値がわかっているもので何とかこの
考えていると守護者が壊した壁から大きな魔鉱石が露出しているのを発見した。
「魔鉱石?あれで撹乱…いや!そうだ」
手袋をつけて魔鉱石の場所までいき、1つ大きな魔鉱石を取る
「等価交換は価値を『知らない』と真価を発揮しない、つまり、誰かを救うには全部知ってねーと駄目だってことなんだろうな!」
再度手袋を外すと、溢れ出る魔力と魔鉱石で守護者に自分の位置を把握させた
「ギャァァァァァア!」
「!、来た!」
守護者が口を開き超音波を放つため口を大きく開いた瞬間に自分の魔力を回らせた魔鉱石と折れた刃を放り込む
守護者は超音波を出してコウヤを攻撃しようとするが、腹の中に何か違和感を覚える。
「それくらいの魔鉱石なら値段は3000ギル。レオがそう言ってたからな、そして俺が欲しかった爆発魔法が組み込んであるコート、あれも3000ギルだ。つまり…」
守護者の腹の中でコートは爆発を起こし内側が爆散した
「っおおお!?何だぁ!?!?」
レオの大声が爆発音より響く中、コウヤは予想が的中した喜びで勝手に解説を始めた
「この手袋のようにお前の内側は魔力を通さない!つまり防御魔法はかかってないってわけだ!外が無理なら内側から!ははは、はは…ぐぇ」
しかし、守護者に勝利したコウヤは、そのまま魔力切れで地面に倒れ込み、気絶した
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「コウヤ!おい!起きろ!」
「う、う〜ん?あれ…ここは?」
気分が悪いな、そうだ、俺は洞窟にいたはず…
彼が起きると、回りには草木が生い茂っていて洞窟から出てきたことを理解したが、それ
「お、起きた!コウヤお前心配したんだぞ!?よく生き返ってくれた!」
レオが俺に抱きつくが、なかなかに力が強くて離してくれない
「し、死んでねーよ…魔力切れで気絶したのかな?」
「良かった…本当に…あの後リーファと倒れたお前を担いで洞窟の外まで帰ってきたんだよ!これぐらいさせてくれ!」
「う…痛い…これは死ぬ…」
トラックに潰された時の痛み…あれだ、あれに近い、本当に痛いんだけど…
「あの…コウヤ君?」
リーファがコウヤに話かけ、そこでやっとレオの拘束が解ける
「はあ…助かった…リーファ、ありが」
「二人共、本当にありがとう!」
「え?」
「ん?」
コウヤが礼を言おうとすると、リーファが被せてそう言った
「洞窟なんて何回も入ったことあるから油断してた!二人がいなかったら今頃私は死んでたと思う…だから、助けてくれてありがとう!」
「何だ、仲間なんだから助けるのは当たり前だろ?」
そう言うコウヤの発言をレオは小声で否定する
「いや、洞窟探索ではやられた仲間は置いていって後でギルドが助けに行くのが基本なんだ。助けてる間に全滅って可能性もあるからな、その頃には食われてるケースが多いし普通はDランクの冒険者が受ける依頼じゃないんだが…ともかく皆無事て良かった」
コウヤを納得させるとレオは笑顔に戻り自分の持っていたバッグから大きな魔鉱石を大量に出した
「これが今回の収穫だ!未踏破の洞窟だったこともあってなかなか良い値段になるぞ?戻って取り分を分けようぜ!」
帰ろうとすると、向こう側から馬車が来て中から数人の冒険者と鎖で繋がれた、ボロボロで汚い服を着た少年が降りてきた
「あれ、もう守護者倒して来ちまったのか?こりゃ一足遅かったな」
「ま、まだ残ってる物もあるだろうし探索する価値はあるんじゃない?」
「そんじゃ頼んだぜー、ほら、言ってこーい!」
洞窟へと向かう少年を見てコウヤはレオに質問する
「レオ、あの子供はなんなんだ?」
「ありゃ奴隷だな。奴隷を買うなんて違法のはずなのに…一体どうやって…」
レオの横顔は先程のようには笑っておらず、握った拳からは血が滲み出ていた。ふとその冒険者達が降りてきた馬車を見ると、御者が怯えているような様子で、恐らく脅されているのだろう。ということを理解した。
「そっか…あの子供は今から何すんだ?」
「洞窟に残った資源を探しに行く。あの巻きつけたロープが千切れたら死んだってことだよ…」
そうして洞窟の中に入っていく少年と目が合ったコウヤは、思わずその少年を追いかけた
「すぐ戻る、待っててくれ!」
「ちょ、コウヤ君!?行っちゃった…」
「だな、なあリーファ…まだ動けるか?」
「ん?…え、ウソでしょ?」
「……責任は俺が全部持つ。」
「レオ君…何者?」
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洞窟の中に入ったコウヤはやっと少年を見つけた
「はあ…はあ…やっと見つけた…」
「…………何ですか?」
「君、奴隷だろ?このままじゃいつか死ぬだけだ、ちょっと待ってろ!」
「え…でも…」
洞窟のさらに奥へ行ったコウヤはしばらくしてから、血だらけの服を着て先程まで着ていた服を持って帰ってきた
「ほら、これ使えよ。」
「…?僕は奴隷です、受け取れません。」
「そう言うなって、貰えるもんは貰っとけよ、俺は助けに来たんだしさ」
コウヤは半ば強引にその服を渡し、最後に1つ言った
「生きてれば人生を変えるチャンスは来る!お前はまだ死ぬ痛みを知るべきじゃない!俺は助けに来たんだよ!」
「助ける…なんで奴隷の僕のことなんか、冒険者同士で争うことになりますよ」
「助けを求める目で俺を見てたからだ!俺はそういう奴のことを放っておけねーんだよ!」
しかし、少年の手を引いて洞窟の外へと出ると、リーファとレオ、そして数人のギルド職員がいた
「あれ、冒険者さん、連れてきてくれたのですね」
「え?どういうこと?」
ギルド職員は自分が洞窟にいた間に起こっていたことを説明した
「先程、エレダーグ様がここを訪れまして、事情を聞いた途端奴隷を購入した冒険者様達を連れていってしまわれたのですよ」
「エレダーグ?誰?」
「知らないのですか!?たった1代で貧民から貴族になった豪商ですよ!?」
職員はエレダーグを知らないコウヤに対して驚きを隠せないようだった
「ともかく…今からその子供を連れ戻そうとしていたんですが、手間が省けました。さ、この馬車に乗ってエレダーグ様の屋敷へ向かいましょう」
「い、意外と早く来たな…人生を変える瞬間」
「ですね…ありがとうございました。それでは」
少年は馬車に乗りエレダーグの屋敷へと向かって行った。
「なあコウヤ、やっぱすげえよ、あの瞬間で危険な洞窟に一人で入っていくなんて…俺にはできなかった」
レオにそう言われ、自分がしたこととなりたい自分とを照らし合わせて答えた
「いや…そういう性格なんだ…やっとなりたい自分に近づけた気もするし、な」
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「よし、報酬も分け終わったし…それじゃ、またどっかで会おう!じゃあな!俺はちょっと急用が出来た!」
「ああ、じゃあな」
「またね〜レオ君」
レオはコウヤとリーファに手を振り去っていった
「はあ…冒険者1日目で大分疲れたな…」
「あはは…お疲れ様、あ、そうだ。忘れてたけどこんなのがあったんだよね」
リーファは服の隙間から一冊の本を出した
「ぶ、文献!?早く、早く読ませてくれ!」
「え、そんなに?待って待って今開けるから」
リーファが本を開くと、急にリーファの頭で遮られて内容が見えなかった。声をかけようとリーファの顔を横から見ると、彼女は明らかに呼吸が荒くなり、一人でどんどん本…手帳に似た物を読み進めていった
「なんであそこにこれが…?いやもうそれはいい…あは、あはは…やった…これでやっと…ゲホッ!」
「だ、大丈夫か!?なんかおかしいぞ!?」
「えっ!?いやいや、大丈夫…じゃあ私も今日は帰るね、ありがとう…」
「あっちょっと待て…行っちまった…」
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「これからどうしようかな」
コウヤが暗い道を、そう独り言を言いながら歩いているた。
父さんは全く見つかる気配がないし…それまで冒険者を続けないとな
これを通して父さんみたいに困った人を助けられる人間になるってのもいいな…
すると後ろから何かの気配がした
「ん?」
その『何か』はコウヤの体を真っ二つにするように長い剣で斬りつけようとしてきたが着ていた服が爆発し、その攻撃を止めることに成功した
「うっ…ゲホッ…」
俺の体は無傷…着てる奴は爆発をくらわないのか…
やっぱこの服面白い…
「ああ…やっぱり素晴らしい…彼のを差し上げるに相応しいお方だ、『転生者』さん」
「!?い、いや違う!俺は異世界生まれ異世界育ちの…」
「誤魔化さなくて大丈夫ですよ、全部知ってますから」
その何かは、腰に悪魔のそれに似た羽を生やした中性的な見た目をした少年だった。彼は頬を赤らめ、こちらに話始めた
「あなたと僕の下僕との闘い、存分に堪能させてもらいました。カッコいい…やはり、相応しいですね…」
「…どこまで知ってる?俺が転生者って何でわかった?」
「だから全部知ってますってば!貴方が洞窟にいる間ずっと見てたんですから!」
その少年はまだ勝手に話し続ける
「ええ…不安ですよね、自分が転生者ってバレて…でも大丈夫、安心してください。僕は貴方の味方ですよ」
「そんな安村みたいな…」
「僕の名前はコリント、吸血鬼です。貴方をずっと待っていました。貴方には、今は亡き祖の意思を受け継いで欲しいのです!」
「…祖?」
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