第8話

今度ばかりは涙が止められなくて…こんなあたし、見せたくない…。




「……」




ふと膝が軽くなる。



座面がギシッ、って音を立てて…あたしの手が心護さんの手によって退けられる。




「…泣き止んで…」


切ない声。



心護さんの指があたしの頬を撫で、涙で濡れた唇が塞がれる。




柔らかく抱きしめられて、あたしは心護さんにしがみついた。




何度も触れている髪に指を絡め、心護さんが妬いてくれたことを思い出す。

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