第12話
悟風は足を止め、目の前に広がる景色に圧倒された。
地下に造られた都市とは思えないほどの広大な空間——いや、都市そのものがここに存在していた。
巨大な建造物が整然と並び、無数の光が交差する。空中には円盤状の機械が滑るように移動し、地上には奇妙な形をした車両が静かに行き交っている。中央には塔のような構造物がそびえ、その表面には青白い光のラインが脈動していた。
「ここはシェルター・セクター01の中央管理区域。」
スペリスが説明を始める。
「この区域には、都市維持システムが組み込まれている。エネルギー供給、水の循環、空気の浄化、食糧生産まで、すべてがこのシステムによって管理されている。」
悟風は驚愕を隠せなかった。
「まるで……完全な独立都市だな。」
「肯定。ここは完全循環型都市。外部からの資源供給なしに、自立して数百年は機能し続ける設計となっている。」
「それで……この都市に人はいるのか?」
スペリスは一瞬だけ沈黙した。
「……可能性はある。しかし、詳細なデータは取得できていない。」
悟風は考え込んだ。
これほどの技術力を持つ都市が、無人であるとは考えにくい。もしかすると、住人たちは外部との接触を避けているのかもしれない。
「この都市を抜けると、どこへ行く?」
悟風の問いに、スペリスはすぐに答えた。
「ここを抜けると、ウェリゴへと至る。そこには空域離脱戦艦が存在するとされる。」
「空域離脱戦艦……!?」
悟風の心臓が一瞬高鳴る。
もし、それが本当に存在するなら——ここを脱出し、宇宙へ戻る手段が見つかるかもしれない。
「確かな情報か?」
「現存する確率は68%。ウェリゴはかつての宇宙港であり、戦艦の製造・格納施設でもあった。大異変以前の記録では、少なくとも三隻の戦艦がここに配備されていたとされる。」
「68%か……悪くはない。」
悟風は決断した。
「よし、ウェリゴへ向かおう。」
アロマンテロスが静かに頷く。
「この技術都市を通り抜ければ、ウェリゴがあるというのなら、試す価値はある。」
スペリスが再びセンサーアイを明滅させた。
「肯定。では、案内する。」
悟風たちは、人工の空の下を歩き始めた。
その先に、宇宙へと繋がる道が待っていると信じて——。
(続く)
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