第7話
広場での言い争いは、次第に激しさを増していた。水を巡る争いは、いつ暴力に発展してもおかしくない空気を帯びていた。
そのとき——。
「やめろ!この街で争いは許さん!」
重々しい声が響いた。
人々の間から、一人の老人が前に出る。長いローブをまとい、白い髭をたくわえた壮年の男。周囲の者たちは「町長……」と小声で呼んだ。
老人はゆっくりと争っていた男たちの間に割って入り、落ち着いた口調で説得を始めた。
「水は皆にとって命の源だ。奪い合えば、最後には誰も生き残れなくなる。互いに譲り合う道を探さねばならん。」
町長の言葉に、周囲の人々はざわめいたが、少しずつ落ち着きを取り戻していった。
悟風は小さく息を吐いた。どうやら、この街は無法地帯ではないらしい。最低限の秩序は保たれている。
「この街に用はないな。」
悟風は呟くと、アロマンテロスを見やる。
「移動するか。」
「了解。」
二人——一人と一機は、静かにその場を離れ、再び街道を歩き始めた。
砂混じりの風が吹く。地平線の向こうには、なにか巨大な建造物の影が見えていた。
「次は、あそこを目指すか……。」
悟風は目を細め、歩みを進めた。
(続く)
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