第38話 治療魔法!

魔法よ、魔法! それも治療魔法を遂に見る事が出来る、フフフ!


痛みと治療魔法を見れる喜びで、私は血だらけで笑っているみたいだ!


目の前の治療をしてくれる男の人が、後ろに一歩引いていく。


(痛みに笑っていますよ)

(異世界の方は、痛みを喜ぶのでしょうか?)

(聖女様が残された書物にある、あの事ですかね?)

(SとMの事ですか、ならMですね!)

(喪女様はMなんですか?)

(だって喜んでいますですよ!)

貴女達! 私には聞こえてますよ、私は絶対にMではないです! 


Sの方が? 確かに社畜看護婦ですけど日頃の恨みで、患者さんの処置をする時に少し……うーむ回答に困る、此処はスルーして。


治療方法は、まずはキレイな水で血を流してヒールで血止め?

そして傷を見て、縫うかそのままヒールで完全治療する様だ。


「このままヒールで治した方が良いみたいですね」

男の人が言って来たので、私は頷く。


「あの〜、治療後の変異はなさそうなんですか?」

公爵夫人が聞いてくると、男の人が答えてくれる。


「ハイ、手の平ですし血管が多少傷ついていても、そのまま治す事が出来ます、傷跡も見えなくなるし女性の方ならば、こちらの治療方法が良いでしょう」

私もそれで良いと頷く、早く治療して貰いたい!


「アリス様がよろしいのなら、そのまま続けて下さい」

公爵夫人の声で、男の人が頷きヒールを唱える。


僅かな光を発光して、傷が見るみる無くなって綺麗な手の平が現れる。


「うわー、本当に治ったわよ! 傷跡も無い!凄い!」

私は声をあげて喜び、手の平を表裏に返したりして、何度も見てしまう。


「良かったです、喪女様に傷を付けてしまってどうしようかと思っていました。治療師殿ありがとうございます」

公爵夫人が男の人に頭を下げる、そして男の人も安堵の表情。


「しかし、異世界から来た方を傷つけてしまった事は、状況に変わり無い、宰相もだが公爵夫人にもそれなりの罰を与えなければならない、コレから事情聴取をするので、皆には別部屋に移動をお願いする」

後ろから王様が言ってくる、傷痕も無く治ったなら私は良いと思うのだけれど、この世界では重大事項になっている。


「王様、私は傷を治して貰ったし、公爵夫人を訴えたりしませんよ! それよりも宰相をどうにかして下さい! 色々と裏がある様に思いますので」

勝手な想像で宰相を生贄にして、公爵夫人を助ける計画!


「それも困るな、事件の発生原因と傷を付けた犯人を取り逃すのはな?」

王様は私と公爵夫人を見て、少し困り顔。


「では逆に宰相を犯人にして、夫人を私の事を助けた人にしましょう、その時に宰相に全ての罪を被せて裁いて下さい」

私の提案に、王様は困り顔で考え込む。


でもそれしか公爵夫人を助ける名案は私には無いので、此処は押し通して貰うとしましょう。








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