第21話 付き添いは料理長!
昨晩はスパゲティとパンを作って出した。
そして翌日、馬車に揺られて市場にとやって来る、付き添いはソルさんと何故か料理長さん。
料理長さんは、昨晩の私の料理を見て驚いた顔でスパゲティを食べて、そしてパンを掴んでその柔らかさに、一言『負けた』と言って食堂から出て行った。
いつの間にか料理勝負が終わっていた。
そして料理長の姿を見て、副料理長さんと残りの料理人さん達が慌てて私に抗議してきたけど、その場にあったパンを掴み、その柔らかさに膝をついて謝って来る。
夫人は大皿に残った、スパゲティの汁をパンに付けて各料理人達に指示すると、それを食べた料理人達は黙って食堂を出て行く。
翌朝に起きて市場に出かける準備をしていると、夫人が料理長を連れてきて一緒に行ってくれと言って来る、財布と荷物もちとして使って良いと言われた。
そして現在に至る。
「ええとアリス様、まもなく市場外に着きます。中は混み合いますので馬車から降りていただいて歩く事になります」
「歩いて回るのね」
私は頷き思いを寄せる、東京の築地市場みたいにターレイがそこかしこに走っていたら面白いのにねと!
降りて歩いて行くと、磯の香りと魚の匂い、ここでは取ってから生きたまま運んでくるので、桶の中に泳ぐ魚と、死んで台に並べられている魚がいる。
「よし鮮度の関係で、生きている魚を血抜きしてもらいましょう」
私が提案すると、ソルと料理長の頭の上に?マークが見える。
「アリス様血抜きとは?」
「俺も聞いた事が無いな、血抜きってなんだ?必要なのか!」
公爵邸から伯爵邸と食事をしてきたけど、どの料理にも使われている肉と魚に血生臭さは残っていた。
「血抜きってしないのですか?料理長さん! 美味しい料理を作るのには、まずは食材探しから始めるのですよ!」
料理人でも無い看護師が言っても説得力が無いけど、現代知識を活かしてこれからの100年を生きていかなくては! 先は長い。
「ではその生きている生きの良い魚を買って生き締めしてもらいましょう」
私はタイに似た魚を指差す。
「それじゃ買いますけど、その生き締め方は指導して下さいよ」
料理長がタイを購入したので、生き締めの方法を指導して行く。
「最初はその額の真ん中辺りにナイフの先を刺して下さい」
本当はワイヤーなどの細い線で刺せれば良いんだけど、無いものは無いので代用でナイフでやってもらう。
料理長がうまい手捌きでタイの額に刺して行く、まあ骨が有るから気をつけてほしい。
あんなに活発に動いていたタイが大人しくなる。
「今度は尾のところを少し切って、エラを排除して下さい、血が出ますけど洗い流してもらって下さい」
売主さんも我々の行動に疑問の顔をして来るけど、我感知せず粛々と生き締めを続行する料理長さん。
「本当は3枚下ろしにするんですけど、このまま伯爵邸に持っていきますか?」
私の問いかけに料理長は。
「ここまで来たら人数分は捌く、此処に至っては最後まで指導してくれ」
料理長が頭を下げてきたので、下ろすとこまで続行、後は氷に詰めたいけどあるのかな氷?
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