第5話

 あみ姉ことミラーナとのお茶会を終えた翌日、わたしは頭を抱えていた。


 (うーん。どうしたらお兄ちゃんとあみ姉を出会わせられるかな……)


 そう、肝心の二人がどうやって出会うかだ。ミラーナは姿を隠す為にもあまり人前には姿を出さないようにしていて、わたしのお茶会に来たのは我が家シュデリウス家があまり王家と関与が無い家門だから。

 また、わたしが同性だったからそこまで警戒しなくても良いと弟と話し合って来てくれたらしい。

 ミラーナは事情も説明してくれて、更にわたしとまた会いたいと言ってくれたから何とかなる。

 問題は我が兄、ビリアスの方だ。なんといっても我が兄は少々……いや、かなり働き者すぎる。まだ成人前だから伯爵代理という肩書きではあるが、実際は他の家門の伯爵達と変わりないくらいの仕事をこなしている。

 兄とミラーナを出会わせる為には、兄になんとか時間を空けてもらう必要がある。かといって、ラビルが仕事を手伝うといっても兄は絶対にそれを断るだろう。

 以前、仕事ばかりで過労から顔色が悪い日があり、代わりに仕事をすると告げれば

『俺なら大丈夫だ、ありがとう。ラビルは今しか出来ない青春を楽しんでおいで』

などと言うのだ。

 (その言葉そっくりそのまま返してやりたいっての!)

 兄の優しさは嬉しいが、今世までも妹の事ばかり気にして自分の事を蔑ろにする兄に悪態をついてしまう。

 どうしたら兄から少しでも仕事から離れさせて、ミラーナと出会わせる事が出来るのか良案が浮かばず、もう何度目か分からない溜め息を漏らす。


 「……ラビルお嬢様。今日は街でお祭りがあるようですから、気分転換に行かれてはいかがですか?」

 「お祭りかぁ……。うん、楽しそうだし、行ってみようかな!」


 気付かぬうちに朝からずっと気難しい顔をしていたのだろう。アニモに気を遣わせてしまった事に罪悪感を抱く。一旦、思考を切り替える為にもあえて元気よく、その提案に乗る事にした。

 

 「承知いたしました。それではお付きの者を手配して参りますね」

 「うん! ありがとう!」


 元気に振る舞う様子を見て安心したのか、アニモもどこか嬉しそうな声で告げて支度の為に部屋を出て行く。ひとまず、二人を出会わせる方法は後回し!


 (今はお祭りを楽しむぞー!)


 準備を終えて上機嫌に屋敷を出るラビル。まさか、この後ある人物と会うとは知る由もなかった。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る