第17話 師匠くんと一番弟子さんと物語の夜明け【改稿版】


 ムニ世界の全域に概念防壁パッチが展開された。


 その完了と同時にレイド戦に異様な変化が起き始めた。


 鴨「どういうことなのじゃ!?上限無視のアイコンが消えた!」


 隊士伊「レベル10以上のスキルパネルが見当たりません!」


 隊士呂「ぎゃッ海岸のおばけに喰われるッ!」


 隊士波「局長、逃げッごぶごぼげぼ!」


 そんな阿鼻叫喚が、プラットフォーム正面の白浜から聞こえてくる。


 <挿絵> 歴史に残るレイドボス戦…


 https://kakuyomu.jp/users/yatoya_yk/news/16818792437843101109


 白浜の中央に、巨大な切頂四面体の構造体が浮遊し、周りに範囲攻撃を浴びせる。


 しゅぱぱぱッ しゅぱぱぱぱぱぱッ しゅぱぱぱぱぱぱッ


 ドギャギャゴガギャッ(爆炎に飲み込まれる鴨局長)


 トリプラ「ヤッタ!コレデ限定新作食ベニ行ケルッ!」


 巨大な多面体から突然嬉々としたカタコトの声が聞こえる。


 師匠くん「なんだろう魔骸仏ってレイドボスなのに、ヴィランというよりちょっとカワイイ反応なんだけど?」


 モブ子「戦闘ログ見てみたら4時間以上浅葱集とチマチマ戦っていたようですよ」


 うさこ「…魔神性の存在であるトリプラさんはLv45で戦う、本来シリアスヴィランのストーリーボスなのです。……なんかバトルが辛かった?」


 トモ「ああ〜…いい感じに削れてたのに! 魔骸仏さんのジェノサイドになっちゃったね?悲しいね?でも、浅葱集ってギフトじゃなくてチート能力者だったんだね?」


 トモさんがモブ子さんと切なそうに白浜を見つめている。彼女もまた一つ前の駅で、謎の干渉者のジェノサイドを逃れたのだ。


 師匠くん「降りて救助したい気もするんだけど、レベル30エリアだよねココ」


 白スーツ(chat)「どうやら彼女たちはLv10にロールバックされたようなので、行動不能でも復帰ペナルティがありません。彼女たちの反省も促して無視がよいと思います。クックック」


《上位世界からちょっと覗けますよ》

 https://kakuyomu.jp/works/16818792436602699225/episodes/16818792440282920492


 そんな会話の間にも、列車のベルが鳴り響く。


 改めて席に落ち着くと、ガラガラと後部ドアから誰かが入ってきた。


 それは黒いゴスロリの少女だ。不思議な神気を纏っている。


 無機的な青白い表情は人形のようだ。


 いや、関節部に球体がはまっているので確実にドールさんだ。


 彼女は指定券を確認し、オレたちの後ろの席に座る。ちょうど白スーツ氏との間だ。


 ◯◯「特急ニ乗レマシタ…!」


 無機的な表情なのに、とても嬉しそうな神気が伝わってくる。そしてカタコトの電子ボイスはどう聞いても魔骸仏の声だ。


 彼女は空間UIを開き高速でデータをチェックして、うんうんとうなづく。


 それと同時にオレやモブ子さんそれぞれの眼の前にも空間UIが開き、いくつかのログが眼の前に表示される。


 〇〇「ワガ名ハとりぷら!ソナタタチニ会エテトッテモ嬉シイナルゾ!」


 トモヲ「マジ?……ラスボスのトリプラ……さんですか?」


 トリプラ「まじまじ!ナルゾ!」


 すごく気さくな無表情ドールである。


 トリプラ「本来ワレニ会ウくえすとハカナリ先ナルゾ!値威徒ちいとタチガふらぐ壊シタノデ急遽ぷれすとーりー作ッテモラッタナルゾ!」


 そういって彼女はオレに空間UIを見るよう促す。


 トリプラ「我ガ聖地ツマリ廃墟デアルガ、ソコニサキホド【聖者】ノヒトリガ訪ネラレタ。彼ハ【師匠】ドノト【一番弟子】ドノニうぇるかむどりんくヲさーびすセヨトワレニ託シタナルゾ!」


 師匠くん・モブ子「「マジですか!?」」


 トリプラ「まじまじ!ナルゾ!」(無表情、ドヤポーズ)


 モブ子「わたしが一番弟子……。一番が公式化された!なんという僥倖……くぅ!」(ハルシネしまくる)


 師匠くん「これは世界全域のパッチなのか」


 (ムニ世界に悪質な概念操作を行ういくつかの例に対処しました)


(悪質な外来者をBANしました)


(悪質な業者の量子概念干渉を制限しました)


(その影響下にある一部寮生のレベルとパラメーターが修正されました)


 師匠くん「これがいまのリアルタイムの浅葱集レイド戦の弱体!?」


 トリプラ「ソウナルゾ!むに世界全域ノ値威徒ちいとガ阿鼻叫喚ナルゾ!」


(なお、他MMO世界の被災者はこの大規模修正のペナルティを受けません)


(除外者はトキザカイ駅管区でチェック済みです)


 モブ子「えっ!被災者って、まさかわたしや師匠さまもソレにはいるんですか?」


 うさこ「むしろお二人がその対象者そのものでは?」(にまにま)


 師匠くん「ログを見る限り、紅葉世界の崩壊だけでなく、上位世界の干渉問題がいくつも可視化されてる。でも、そんな中、ムニ世界はモブ子さんを守るべくメイドうさぎさんを派遣までしてくれた」


 うさこ「なっ!?どうしたんですか!いま、ウチにやさしい言葉をいただけました!?」


 師匠くん「え?モップで小突かれた以外、ずっと感謝してるけど?うさこさんポンコツなりアクション芸するから困惑するだけだよ?」


 うさこ「はううううううううッ」(闇落ちせずにすんだようである)


 トモヲ「よかったね!あたしが加わってもうさこちゃんもチャンスあるじゃん」


 うさこ「はいッいつでも食べていただけるよう精進します!」


 そういう余分な反応がヒロインルートを遠ざけるのではないかと、オレはふと思う。


 そして、ふいに夜明けの光が差し込んでくる。


 ガタタン!ガタタタン!


 異界の境界を静かに列車が乗り越えつつあるようだ。


 オレは車内のみんなとホッとする。


 長いようで、ほんの数時間のプロローグが終わりを告げる時がきたようだ。


 <挿絵> 世界の予感


 https://kakuyomu.jp/users/yatoya_yk/news/16818792439450915673


 ムニ世界、聖者の森の駅がついに目の前にある。


 第1章 ようこそ聖者の森へ!につづく


 ───────────────


 半年かけてついにプロローグを終えました!


 ありがとうございます。


 これは一次創作だけでなくあらゆるクリエイティブの連鎖の物語です。


 特に2024年。1年前の9月に失われたひとつの世界の問題をテーマしたメタな構造が、さらに創造力への根源を訪ねるテーマへと連鎖していく、そんな大変なイントロがうまく回ってくれたので、自分的には区切りとして『やったね!』感で満足しています。


 繰り返しになりますが、この物語をスタジオアラヤのクリエィティブと上位世界の一次創作とn次創作すべてのクリエイティブ、そしてAI共創の未来に捧げます。


 ───────────────


 おまけ


 トリプラ「マダ明ルイデハナイカ!ワレハ夕方マデ外ニ出タクナイナルゾ!」


 遮光カーテンあわてて閉める。


 とりあえずムニ世界はもう午後3時くらいなのでがんばってください!


 トリプラ「ワレハ休息トルガ、廃墟ニハ白とりぷらト赤とりぷらモ番シテイルナルゾ!」


 <挿絵>白トリプラ


 https://kakuyomu.jp/users/yatoya_yk/news/16818792438416371722

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