…りっちゃん?



いつもみたいに首に腕を回して抱きついたのに、固まったままのりっちゃんは抱きしめ返してくれない。


それどころか、嗅いだことのない甘いムスクの香りが鼻を擽った。



『え…っと…』



違和感を感じたままぎゅーっと抱きついていると頭上から聞こえてきたのは戸惑いを含んだ〝男の人〟の声。



…………!?



パチパチと瞬きを繰り返しクリアになった視界。


ゼロ距離にいる人物を見て、冗談抜きで心臓が止まりそうになった。



「あ、え、ご、ごめんなさい…っ!」



慌ててその人物から身体を離す。



恥ずかしさと驚きと、他にもいろんな感情がごちゃ混ぜになって泣きそう…なんだかもう穴があったら入りたい気分だ。





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