第43話能力の専制
こんにちの社会には、条件の平等があまりない。階級、人種、民族、信仰を超えて人びとがつどう公共の場はきわめてまれだ。40年に及ぶ市場主導のグローバリゼーションが所得と富のきわめて顕著な不平等を生んだため、われわれは別々の暮らし方をするようになってしまった
裕福な人と、資力の乏しい人は、日々の生活で交わることがほとんどない。それぞれが別々の場所で暮らし、働き、買い物をし、遊ぶ。子供たちは別々の学校へ行く。そして、能力主義の選別装置が作動したあと、最上層にいる人は、自分はみずからの成功に値し、最下層の人たちもその階層に値するという考えにあらがえなくなる。
その考えが政治に悪意を吹き込み、党派色をいっそう強めたため、いまでは多くの人が、派閥の境界を超えた結びつきは異教徒との結婚よりもやっかいだと見なしている。われわれが大きな公共の問題についてともに考える力を失い、互いの言い分を聞く力さえ失ってしまったのも、無理はない
だが、共通善に到達する唯一の手段が、われわれの政治共同体にふさわしい目的と目標をめぐる仲間の市民との熟議だとすれば、民主主義は共同生活の性格と無縁であるはずがない。完璧な平等が必要というわけではない。それでも、多様な職業や地位の市民が共通の空間や公共の場で出会うことは必要だ
その考えが政治に悪意を吹き込み、党派色をいっそう強めたため、いまでは多くの人が、派閥の境界を超えた結びつきは異教徒との結婚よりもやっかいだと見なしている。われわれが大きな公共の問題についてともに考える力を失い、互いの言い分を聞く力さえ失ってしまったのも、無理はない
だが、共通善に到達する唯一の手段が、われわれの政治共同体にふさわしい目的と目標をめぐる仲間の市民との熟議だとすれば、民主主義は共同生活の性格と無縁であるはずがない。完璧な平等が必要というわけではない。それでも、多様な職業や地位の市民が共通の空間や公共の場で出会うことは必要だ
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