第3話
〈第二の容疑者〉
去年と今と、同じクラスの生物部、谷川くん。
春休みに、たまたま映画館で会った。
「こういう映画って、男一人で来るのが恥ずかしかったから、一緒に観てくれてラッキーだった」
鑑賞後、お茶をしながら、そう彼が言った。
お茶したと言っても、チェーン店の学生ならではなカフェで、だけど。
「完全デートじゃん。えー、そんなことがあったなんて聞いてないシリーズ。ていうか、楓も一人だったん?」
「そうだよ。ミステリ系の映画だったもん。夕実観ないでしょう?」
恋愛ものなら、確実に夕実を誘った。
「そんなの男が一人で行きづらいほどの内容じゃなさそうじゃん」
「主人公が、キラキラのイケメンアイドルだったからじゃない?」
私は、演じているのが誰かなんて気にせずに、ミステリの内容を追っていたけど、確かに前のほうにいた子たちは、息継ぎの仕方が違った。
誘われて一緒に行ったわけでもなし。これも違う、かなぁ。
「それが夏休みだったら、花火大会とか行って、わたがし買って、いちごあめ買って、とうもろこし買って、下駄の紐が切れて『ちょっと待って。すぐに済むから』って言いながら、片足をスッと持ち上げられて。きゃー」
なんの話よ。
「想像が古くない? 食べ物ばかりだし。下駄の紐って鼻緒でしょう? 今時、花緒が切れたからってすぐに直せる人いないわよ」
「そこは、イケオジの力で」
うーん。谷川くん、イケオジじゃないと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます