第3話

〈第二の容疑者〉

 去年と今と、同じクラスの生物部、谷川くん。

 

 春休みに、たまたま映画館で会った。


「こういう映画って、男一人で来るのが恥ずかしかったから、一緒に観てくれてラッキーだった」


 鑑賞後、お茶をしながら、そう彼が言った。

 お茶したと言っても、チェーン店の学生ならではなカフェで、だけど。


「完全デートじゃん。えー、そんなことがあったなんて聞いてないシリーズ。ていうか、楓も一人だったん?」

「そうだよ。ミステリ系の映画だったもん。夕実観ないでしょう?」

 

 恋愛ものなら、確実に夕実を誘った。


「そんなの男が一人で行きづらいほどの内容じゃなさそうじゃん」

「主人公が、キラキラのイケメンアイドルだったからじゃない?」

 

 私は、演じているのが誰かなんて気にせずに、ミステリの内容を追っていたけど、確かに前のほうにいた子たちは、息継ぎの仕方が違った。

 

 誘われて一緒に行ったわけでもなし。これも違う、かなぁ。


「それが夏休みだったら、花火大会とか行って、わたがし買って、いちごあめ買って、とうもろこし買って、下駄の紐が切れて『ちょっと待って。すぐに済むから』って言いながら、片足をスッと持ち上げられて。きゃー」


 なんの話よ。


「想像が古くない? 食べ物ばかりだし。下駄の紐って鼻緒でしょう? 今時、花緒が切れたからってすぐに直せる人いないわよ」

「そこは、イケオジの力で」

 

 うーん。谷川くん、イケオジじゃないと思う。

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