第3話 爆裂魔法

「こっちこっち」




 朝ごはんを食べた後、僕はエリカの手を引いて、村の近くの丘を登った。ここが一番見晴らしが良いし、僕の予想だと結構大爆発を起こすはずだから、この丘は何もないので良い。




「なんか花火を見た日を思い出す、ね」




「だね。でも今日は花火より凄いものが見れるよ」




「そうなんだ」




 なんか、エリカとの会話が空回りしている気がする。けど何がから回っているのか見当もつかないから、気にしないことにしようか。




「ここならいいでしょ。見てて」




 丘の先にある一本の田舎道、その更に奥の平原に照準を合わせる。うん、はやり見晴らしが良いな、ここは。




「今から魔法を使うの?」




「そうだよ。とびっきり大きい奴」




「へー。そういえば研究が完成したって言ってたもんね」




「そうそう。今からそれを撃ってみるんだ」




「今まで沢山頑張ってたし、きっと凄いものなんだろうね」




「うん。期待しててよ」




 すっごいハードル上げて大丈夫? とエリカが笑った。




 さて。僕は手を前に突き出して、イメージする。




 今までの炸裂魔法は、魔力と詠唱を用いて現象を呼び出すというプロセスで魔法を発動させる。詠唱と魔法の知識を少し持っていれば、これは誰でもできる魔法だ。でも、これだと魔力効率が悪く、威力も限られたものしか出せない。


 


 そこで、発想の転換。現象を呼び出すんじゃなくて、現象を作り出す。




 今回の爆裂魔法で言うと、魔素を触媒とし、空気中の物質を弄って爆発物に変えるのだ。この方法ならば魔力消費も魔素をばらまく分しかかからないし、威力調整も可能。威力の上限に至っては青天井だ。




 ただ、そのためには物質の事や物質の作り方、実際に作る時の調整方法など結構勉強しないといけない知識が多い。だからこれは誰にもできるわけじゃない。僕も沢山研究したから出来たことだ。




 照準を向けた先に向かい集中する。触媒の魔素をばらまいて、爆発性の物質を散布し、一気に点火するイメージだ。




「そろそろいいかな。いくよ、エリカ」




「う、うん」




「フォイヤー!」




 点火のイメージをした瞬間、一瞬目の前が真っ白になった。続いて赤い光と黒い煙が、さらに爆速で僕の全身を殴りぬける音と風。まず間違いなく、今までで一番大きな爆発だった。




「こ、これが爆裂魔法……」




 理論を組み立てる中で、これくらいかなという想像はしていたが、これほどとは。




「び、びっくりした……」




 隣ではエリカが目を丸くしていた。あの頃見た炸裂魔法とは次元の違う爆発だ。作り出した僕ですら開いた口が塞がらないのだから、こうなって当然だろう。




「どうだった?」




「どうだったって……確かに凄いけど、これ危険なんじゃ」




「うーん。危険は危険だろうけど。今日みたいに誰もいないところでやれば大丈夫だよ」




「そうかもしれないけど。絶対、人には向けないでね?」




 エリカの心配に、僕は軽く答える。




「大丈夫だって!」


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