宅配司書の本語り旅 ~Story made of Stories~

ほか

 中央ヨーロッパのとある小国の首都に、私立図書館があった。


 高い天井にどこまでも積み上げられた世界各国の本が並ぶ書棚。


 コチニールレッドのカウンター。


 知恵の女神の白亜像。


 世界一美しい図書館にその名を連ねられるようなその場所には風変わりなサービスがある。




 サービスの名は”宅配司書”。


 一人の女性司書が、世界各国どこへでもかけつける。


 地球上のどこかで待つ、たった一人のための本のプレゼン――ブックトークを届けるために。




「英語圏の本ならなんでも」


「舞台化に適した原作本」


「寂しいとき、寄り添ってくれる一冊」




 彼女はどんな依頼にも、選りすぐりの数冊を選び、物語のように一冊一冊を結び繋いで、あなたに紹介してくれる。


 書物たちの世界は奥深く、時に人生のひみつにたどり着いてしまうかもしれない――。




 あなただけのブックトークを届けに、今日も地球上のどこかを旅する宅配司書の彼女の名は、静かな外観に秘めた豊かな内装のモスクが多く点在するとある街の名をとって、こう言う。


 ――ラヴェンナ・ヴァラディ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る