第20話 大団円 2

 フカフカなソファに僕たちは座っている、大人の人用なのか、体が沈み込んで眼の前のテーブルに置いてある、ジュースの入ったコップに手を伸ばしても届かない位。


 となりに座っている、松根さん、百合川さん、宮竹さん、そしてモモちゃん先生、先生以外は僕と同じ様に、ソファに沈み込んでいる状態。そばには佐保姫や、龍田姫もいる。


 広い部屋に、掛け時計の時を刻む音が静かに響いていた。


 その人は、僕たちのソファとテーブルをはさんでもう一つソファがあって、その向こう側にそれは、それは、大きな木のデスクの、まだその向こう側の、椅子いすに座っていた。


 デスクの上には電話とか事務で使うようなものが、僕たちの低い位置からでも所狭ところせましと、並んでいるのが見える。

 そのデスクには、これも木でできた卓上たくじょう名札なふだがあって、毛筆もうひつで書かれたような、肩書かたがきと名前が彫ってあった。

 デスクの向こう側で受話器を持って何やら話している、髪が長い、ポニーテールの、モモちゃん先生と同じくらいの女の人が、受話器の向こう側の人としゃべっていた。


 この人、どこかで見た事あるな、って思いながら見ていた。

 僕は、隣に座っている松根さんに聞いてみた。

 複数人掛ふくすうにんがけのソファに隙間すきまなく座っていたから、びっくりするくらい顔が近くにあって、目を合わすことが出来ずに、顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。

『あの、女の人、見た事ある?』

 松根さんは

『知らないの、あの人はね・・・。』

 と、言葉を続けようとした時、

 話をしていた女の人は受話器を置いた。

 そこで、松根さんは口をつぐんでしまったので、続きは聞けなかった。


 そしてまた、女の人は、受話器を取り誰かと話し出した。

 僕たちの座っているソファ、その横には、あの、黒いサングラスをした、黒い背広を着た女の人や、男の人が壁際かべぎわに並んでジッとしていた。


 再び、置時計の時を刻む音が、部屋一杯になった。


 数時間前、僕たちは、ヘリコプターの中にいた。

 その中で、龍田姫は、やっぱり、こんな事態じたいを引き起こした原因が自分にあると、落ち込んでいるようだった、そこで百合川さんが『大丈夫、龍田姫の所為せいじゃないと思う、だって、こんな全国に影響を与えるなんて考えられない。』

 佐保姫も、

『きっと、他に原因があるはずじゃ、きっと探して見せる。』と繰り返し励ましていた。

 ぼくは、何の根拠こんきょもないけれど『大丈夫、大丈夫きっと大丈夫』とお母さんの口癖くちぐせを言っていた。


 で、

 いま僕たちはフカフカなソファに沈みながら座っている。


 デスクの向こうで、受話器の向こうと何か話している、髪の長い女の人は、話が終わったのか、受話器を置き、僕たちの目の前のソファにゆっくり歩いてきて座った。

 そして、頭を下げて謝り出した『急に連れてきてごめんなさい、この国、日本の、一大事、なんとか、助けて欲しいの。』


 そして、続けて、『今まで調査していると、君たちの通っている小学校、そしてその中でも君たちが、この事件の中心にいることを突き止めたの。だから、何とか助けて欲しい。』と繰り返した。


 僕たちは目を合わせた、そして周りの大人たちには見えないそこに立っている佐保姫、龍田姫とも。

 その女の人は続けて。

『そして、なぜか全国各地の小学校に出没しゅつぼつして、学校に残された人々を救出したことが、決定的な証拠しょうこ。救出された人々は男の子と、女の子と、大人の女性が一緒だったと証言しているの。加えて、首相官邸直轄内閣調査室分室しゅしょうかんていちょっかつないかくちょうさしつぶんしつの報告と照合しょうごうして、これはあなた達という事も、判明したわ。』


 そして、各地の学校で、閉じ込められた人々を学校の中から救出している、バッチリ僕たちが映っている画像が、テーブルに置いてあるタブレットから流れた。


 しばらくして、そして僕は、気が付いた。

 眼の前にいる、この人は。


『紹介が遅れたわ、私はこの国の総理大臣そうりだいじん、そして憲政史上初けんせいしじょうはじめての女性総理大臣、伊藤博子いとうひろこ。どうか助けて欲しいの。』


 と深々と頭を下げた。

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