第18話 匂わせ

 1ヶ月後


 ひろから連絡がきた。


「な、ちょっとビビッたけど、本当に倉田亨から俺に電話かかってきたよ」


「そうか、予想通りの動きをしてくれてんな」



 これは、俺と中野の計画通り。

 中野の匂わせに敏感に反応してる証拠だ。

 さすがに警察官だな。

 その匂わせに乗って、中野に対して束縛がキツくなるだろう。

 中野に対して、パワハラ、モラハラが増せば、それは離婚理由のひとつになる。

 子どももいるし、激しいDVまではしないだろうとは思うけど。

 中野は、ちょっと怒らせて煽って、手をあげさせたいって言っていた。

 離婚理由として、旦那の暴力ってのはだいぶ強く主張できるから。

 俺としては、中野にそこまで体を張って欲しくはない。

 それから、きっと性交渉を強要してくるだろう。

 精神的にも肉体的にも支配したいと思うはずだから。

 離婚する為とはいえ、毎晩旦那に抱かれている中野を想像すると、離婚なんて悠長なことを言ってないで、毎日少しずつ食事に毒をもって、殺害してしまった方が手っ取り早くないか?なんてことまで考えてしまう。

 仏に仕える身の俺が、そんなことを考えてしまうのは良くない。

 それはそう。

 だけど、座禅していても、頭の中は中野のことばかり考えてしまう。

 早く中野に会いたい。

 抱きしめたい。

 キスしたい。

 舐めたい。

 セックスしたい。

 雑念でいっぱいだ。



「で、今度会う約束しちゃったけど、それでいいんだよな?」


「オッケー!!ひろ、ありがとう!!

 計画通りに、よろしく頼むわ!!」


「はいよ!じゃ、また報告するわ」


 


 さてと、連絡係に連絡するか。

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