第7話 2人で食事 2

 「田坂憶えてないかもだけど、中1の2学期、席が隣りになってね、私達 結構仲良かったんだよ。

 まぁ、私の勝手な思い込みかもしれないけどね。

 でも、いっぱい話したよ。

 冬休み部活最後の日にさ、憶えてないかな〜。

 さとみと2人で田坂に好きな人 誰か?って聞いたんだ。

 さとみが面白そうだから、聞いてみよ!って走って行っちゃってさ。

 私ね、ホントなんかホントに、バカみたいなんだけど、田坂が私のこと好きだって言ってくれるんじゃないかって、なんか 期待しちゃってた」


 えっ? 俺の気持ちわかってたのか?


「だけど、田坂の答えは2人のうち どっちか……

 田坂が好きだったのは さとみだったのに、勘違いしてた自分が恥ずかしかった……」


 そう言って下を向いた。


「それさー!!」 


 言っちまうか!?

 いや、ダメか……


「それ、2人のうち どっちかっての……

 冗談だったんだ……」


「えっ?」


「俺、伊藤のこと別に好きでもなんでもなかったよ」


「なんで?だって、仲良かったし、部活の時だって他の男子が、さとみに、田坂がチョコ欲しいってよ!って言ってたよ」


「あー、それな……

 あの時、おまえが走って行っちゃって、伊藤と2人になっちまって、喋ってたところを洋介に見られて、怪しいとか何とかって、噂たてられちまっただけでさ……

 だから、伊藤は全然関係なかったんだ」


「そうだったんだ。

 バレンタインデーに、さとみ1組の竹林くんに

チョコあげに行っちゃって、田坂にあげなかったから、田坂かわいそうだなって思ってたんだ。

 あの日もね、私 諦めきれずにチョコ用意してたんだ。

 田坂 誕生日だし、おめでとうって言いたかった。

 でも、私からもらっても嬉しくないだろうなって思って、結局 田坂には渡せなかったけどね」


 ……マジかよ……

 なんでだよ……


「それからすぐに吹石さんと付き合ったでしょ!

 じゃ、田坂はずっと吹石さんのこと好きだったってこと?」


「あ、まぁ そうだったかな……」


 嘘をついた。


「そっか……2年の秋に えいちゃんと付き合うことになるまで、ずっと田坂のこと好きだった。

 えいちゃんに付き合ってくれって言われて、私、えいちゃんには正直に話したんだ。

 田坂のことが好きだったって。

 でも、諦めようとしてるって。

 そしたら、えいちゃん それでもいいって、田坂への未練は俺が忘れさせてやるって、ちょ〜〜かっこいいこと言ってくれてさ。

 そんな えいちゃんに甘えさせてもらって付き合うことにしたんだ。

 それからは、田坂も知ってる通り、えいちゃんと順調に付き合ってたし、田坂のことはもう忘れてたよ。

 だから、メールで中学の時、ずっと好きだったって言ったけど、正確には2年までかな」


 本当に正直だな……その通りなんだろうな……


「俺は、中野のこと、ひろの彼女って風にしか見てなかったし、中野とは中学の頃ほとんど話したことなかったような気がすんな」


「そうでしょ!ほんと話せたの中1の2学期だけだから。

 本当は話したいこといっぱいあったし、気持ちも伝えたかった。

 だけど、全然話せなくてね。

 なんにもできなくて、ただ失恋して辛かった。

 でもね、そんなことどうでもいいってゆうか、全然忘れて生活してたよ。

 なのにさ、夢をね、ほんと定期的に夢をみるんだよ。

 その頃の、なんも話せないで、田坂を目で追ってるだけってゆう夢を、今までどれくらいみたのかな〜。

 すごいみるんだよ。

 それがさ、この間告白してからはみてないの!

 心残り解消されたのかな あははっ!

 だから、今頃だけど、告白して良かったなぁって思ったよ」


「おまえさ、告白なんてすんなら、結婚前にしてくれよ。

 どうせなら、もっと早く言ってもらいたかったな。

 ひろと別れた後とかさ」


「う〜ん。えいちゃんにフラレてからはさ、なんてゆうか、ちょっとな……

 身も心もボロボロで、中学、高校とかの知り合いには会いたくなかったし。

 成人式で久々にみんなに会ったって感じだったし。

 あの時、田坂に会ってないもんね?」


「あぁ、同級会では会ってねーな。

 成人式の時、ホールでは見かけたけどな」


「あっ!私もホールで見たわ!

 えいちゃんと並んで座ってたよね。

 さすがに、えいちゃんと別れました!

 田坂のこと好きでした!って流れにはなんないでしょ」


「そりゃ、そうだけど」


「なに?もしも私がその時に告白してたら、付き合ってくれてたの?」


「あっ??いや、それもなかったかな……」


 嘘をついた。


「でっしょーー!!ほら!どっちにしろ、早いか遅いかじゃなくて、私のことなんて眼中にないんじゃん!!

 しかも、親友の元カノとなんて絶対付き合わないでしょ!」


「そう言われると、それもそうだな」


「もう!!」


 今、酒飲んでる勢いで、全部言っちまったら どうだ?

 おまえのこと 大好きだったって!!

 20年も経っちまったけど、今からでも……


 そんなん無理だよな……

 

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