野望
約束
玉緒には野望がある。というか私との約束がある。
「ああ、早く独立したい」
私の膝の上で玉緒はそうぼやいた。
「そんなにヤなの?」
そんなに締め付けが厳しいのだろうか。
「ヤだよ。あれやっちゃダメ、これはしなくちゃダメ、そんなのばっかり」
玉緒は私の首に腕を回してそう言った。
「エースキャスターだししょうがない」
私は正しい指摘をした。
「報道の仕事なんてないし!」
玉緒は不満を顕にした。
玉緒は元々キー局で報道をやりたかったそうだが、受けた会社は全部落ちて仕方なくスカウトされたタレント事務所に入社したのだ。
「茉莉の卒業まであと三年、少しは社会人経験を積むとしてあと五年、遠い!」
玉緒はそういいつつ私の腰を抱いてお腹に顔をうずめた。
「すぐだよすぐ」
私は玉緒の頭を撫でながらそう言った。
私と玉緒の約束とは、二人でいつか独立しようというものだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます