第17話 新たな旅立ち
芽吹く桜が校庭を彩り、新しい季節が訪れていた。
卒業式が近づき、学校全体に新たな期待と少しの寂しさが漂っている。
佐藤芽衣と高橋莉奈は、特別な関係となってからますます親密になり、お互いの存在が一層大切なものとなっていた。
ある日の放課後、二人は音楽室で最後の練習をしていた。卒業式での演奏が近づいており、その準備に余念がなかった。
「芽衣、今日は本番前の最後の練習だね」
莉奈が静かに言うと、芽衣は微笑んで頷いた。
「うん、精一杯頑張ろう」
二人はピアノに向かい合い、心を一つにして演奏を始めた。その音色は、まるで二人の心が織りなすハーモニーのように美しく響き渡った。
演奏が終わると、芽衣は感慨深げに言った。
「これで最後の練習なんだね。なんだか寂しいな」
莉奈も同じ気持ちだった。
「そうだね。でも、これからもずっと一緒だよ」
その言葉に、芽衣の胸が温かくなった。
「ありがとう、莉奈。私もあなたと一緒にいることが本当に幸せだよ」
卒業式当日。校庭には卒業生たちの笑顔が溢れ、親や友人たちも集まっていた。
芽衣と莉奈は、式の最後に二人で演奏を披露することになっていた。音楽室でドレスに着替え、舞台袖で待機していると、心地よい緊張感が漂っていた。
「緊張するね」 芽衣が小さくつぶやく。
「うん。でも、あなたと一緒なら大丈夫」 莉奈が微笑んで答える。
司会者の声が響き、いよいよ二人の出番がやってきた。芽衣と莉奈はステージに登り、ピアノの前に座った。
「今日は本当にありがとう。これからも一緒に頑張ろうね」
「うん、ずっと一緒だよ」
二人は息を合わせ、演奏を始めた。美しいメロディーがホールに響き渡り、聴く人々の心を優しく包み込んだ。
演奏が終わると、会場は大きな拍手で包まれた。芽衣と莉奈は微笑み合い、深くお辞儀をした。
「ありがとう、芽衣」
「こちらこそ、ありがとう、莉奈」
卒業式が終わり、校庭で友人たちと写真を撮りながら別れを惜しむ時間が訪れた。芽衣と莉奈も、親しい友人たちと笑顔で過ごした。
「これからも連絡取り合って、また集まろうね」
「うん、絶対に!」
その日の夕方、二人は校庭の桜の下で再び会った。静かな時間が流れ、風が桜の花びらを舞い上げる。
「これからも、ずっと一緒にいようね」 芽衣が優しく言うと、莉奈も微笑んで頷いた。
「うん。あなたがいれば、どんな未来でも乗り越えられる気がするよ」
「私もだよ、莉奈」
二人は手を取り合い、未来に向けた新たな旅立ちを誓った。
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