第6話 微笑
文化祭の準備が進む中、佐藤芽衣と高橋莉奈は放課後の音楽室でピアノの練習を続けていた。二人の演奏は日々上達し、息の合ったデュエットが自然にできるようになっていた。
「今日はこの部分をもう少し練習しようか?」
芽衣が提案すると、莉奈も微笑んで頷く。
「うん、ここが一番難しいからね。」
二人はピアノに向かい合い、慎重に鍵盤を叩く。その音色は、まるで二人の心が一つになったかのように美しく響いた。
その日の昼休み、芽衣と莉奈は中庭でお弁当を広げていた。暖かい陽射しと涼しい風が心地よく、二人の会話も弾んだ。
「文化祭、本当に楽しみだね。」
芽衣が笑顔で言うと、莉奈も微笑みを浮かべた。
「うん、絶対に成功させたい。」
その時、友人の美咲が駆け寄ってくる。
「芽衣、莉奈ちゃん、今日の放課後一緒に文化祭の準備手伝ってくれない?」
「もちろん、手伝うよ!」
三人はクラスメートたちと一緒に装飾やステージ設営を手伝い、楽しい時間を過ごした。
放課後、芽衣と莉奈は再び音楽室で練習を始めた。
「今日はクラスのみんなともたくさん話せて、楽しかったね。」
芽衣が話しかけると、莉奈は少し照れながら頷く。
「うん、みんな優しいね。」
「そうだね。莉奈ももっとみんなと仲良くなれるといいね。」
「芽衣がいるから、大丈夫。」
その言葉に、芽衣の胸が温かくなる。
「ありがとう、莉奈。私もあなたがいてくれて本当に嬉しい。」
練習を終えると、二人は校庭を並んで歩いた。夕焼けが空を染め、風が心地よく吹き抜ける。
「今日はたくさん練習したね。」
芽衣が微笑みながら言うと、莉奈も同じように微笑む。
「うん、お疲れ様。」
「莉奈、本当にありがとう。あなたと一緒にいると、音楽がもっと楽しくなる。」
「私もだよ、芽衣。」
その日、芽衣は自室で日記を開く。
一方、莉奈もまた、自分の部屋でピアノの前に座っていた。
「芽衣がいるから、私はもっと頑張れる。」
静かに鍵盤に触れ、新しいメロディーを紡ぎ始める。
それは希望に満ちた、明るい旋律だった。
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