魔王討伐パーティ内での恋愛は厳禁です
嶋田覚蔵
第1話 初見! サイクロプス
それはガルド大橋を渡りイリウス地方に入った直後のことだった。
「グオォォーーーッ」
大地も震えるような雄叫びをあげ、巨大なサイクロプスが森蔭から姿を現した。
体長4メートルほど。右手に棍棒を持ち、隆々とした筋肉がまるで鎧のように全身を覆っている。
勇者・カイトは一瞬にして「今のパーティの実力ではイリウスで生き残れない」
そう悟らせた。逃げることを考えた。しかし目の前の敵に背を向けるのはかえって危険だ。それで魔法使い・シオン、僧侶・マリアに最大出力の魔法攻撃を指示。女戦士・ローラにはパーティの防御を命じた。サイクロプスの棍棒による攻撃を、受けられるのはローラだけだと判断したからだ。
マリアが得意の風の魔法を唱える。
「風の聖霊よ、疾風で敵を傷つけたまへ」
一陣の風が激しくサイクロプスを叩く。しかし強靭な敵に与えられるダメージは軽微だ。
風に耐えたサイクロプスが棍棒を振り上げ、パーティの中で一番防御力が低いシモンに襲いかかる。
「ガチーーーン」
ローラがシモンとモンスターの間に割って入り、棍棒の一撃を皮の盾で受け止めた。しかし、サイクロプスの腕力は凄まじく、ローラは4~5mくらい飛ばされてしまう。棍棒を振り下ろして敵の体制が崩れた。そこへシモンが炎の魔法を叩きこむ。
「炎の聖霊よ。敵を燃やしたまへ」
サイクロプスの右足が燃えた。そこへカイトが鉄の剣で袈裟懸けに切りつけた。大ダメージ。しかしまだサイクロプスは倒れていない。
仕方ない。体制を整えて第二撃に入ろうとした瞬間。いつの間にか戦線に復帰していたローラが、自慢のハンマーでサイクロプスの脳天を直撃。
「ズドーーーン」
サイクロプスの巨躯が、伐られた巨木のように倒れた。
「やったー」
手を取り合って喜ぶマリアとシモン。カイトは心配でローラに駆け寄った。なんとローラはハンマーを握り、立ったまま気絶していた。
カイトがローラの肩を揺らすとすぐにローラは目覚めた。しかしサイクロプスの一撃はかなりのダメージだったのだろう。見ただけで体力が落ちているのが分かる。
「マリア、ローラに回復呪文を」
マリアが回復呪文を唱えると暖かな光がローラを包み込み、ローラは見る見る元気になっていく。
なんとか危機は回避できた。しかしこれからどうしようかとカイトは悩む。このまま先に進み、ザイージョの町を目指すか。それともいったん後退して、体制を立て直すか。
今までのカイトなら、迷わず戻っていただろう。
「安全第一」
それがカイトのモットーだから。多少時間はかかっても危険は冒さず、慎重に歩を進める。でもこの間ローラに叱られた。
「安全第一の勇者パーティって情けなくないですか。もっとガンガン攻めましょう。そうでないと私たちいつまで経っても弱いままです。どんな強敵が現れても私がパーティの盾となり、必ず皆さんを守り抜きますから」
そう言われてカイトは目が覚めた。確かに最近安全策ばかり取っているせいか、パーティ内には緊張感が切れて、緩みが生まれてきていた。
カイトは決心した。ここで引き返しちゃダメだ。シモンとマリアの魔法量はまだたくさんある。いざという時の薬草もある。無理してでも先に進もう
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