第12話 夢の中
メタルギアード・レクイエムは二年前に放送され、SFロボットアニメの人気を再燃させた名作である。
時は2125年、火星開拓団はマルス共和国を名乗り地球に独立戦争を挑む。火星開拓団は異星人から譲り受けた人型戦術兵器メタルギアード・カエラムを用い、地球政府は滅亡の危機に瀕する。
火星への留学生神崎レイジは謎の美少女イオと出会う。イオは最強のメタルギアード・レクイエムの起動に必要なAI搭載アンドロイドであったのだ。
硬派なストーリー展開に派手なロボットアクション、そしてアンドロイドの少女イオの可愛らしさ。
さらに火星共和国マルスのエースパイロットであるセラ・ヴェルナの登場によりストーリーに三角関係の要素も加わる。ファンの間ではイオ派とセラ派に分かれ、不毛な争いがネット上で何度も繰り返された。
劇場版メタルギアード・レクイエム イオの祈りで一応ストーリーは終わっているが未だに続編を望む声が多い。
テレビ版は一話二十五分として二クールの二十四話話ある。プラス劇場版の二時間をたすと約十二時間の計算になる。
現在時刻は夜の七時を半分ほど過ぎている。ぶっ続けで見ても明日の朝七時を余裕で過ぎる。
野平さんとアニメを連続視聴するのは良いが、あまりにものボリュームではないか。
僕は頭の中で時間を計算しながら、ピザをかじる。もっちりとした生地に照り焼きソースとチーズが合わさって、最強の組み合わせだ。
ピザは八つにすでに切られていて、四つの味に分かれている。照り焼きチキン、バーベキュー、アボカドシュリンプに明太ポテトだ。
野平さんは明太ポテトを一切れつまむ。すでに彼女はサングラスとマスクを取っている。
映画館で見たような極薄のモザイクが彼女の顔にかかっていた。
ハフハフという咀嚼音と共にピザ生地がモザイクの中に消えていくのはなかなかにシュールな光景だ。なれとは怖いもので、こんな光景を見てもあまり怖いとはおもわなくなっていた。
野平さんって美味しそうな咀嚼音を立てるなと思う。ASМRを聴いているようだ。
テレビからはアニソン歌手のサラが歌うメタルギアード・レクイエムのオープニングテーマ曲「涙のレクイエム」が流れている。
アニソン歌手サラの代表曲だ。歌手サラはこの曲を引っさげて紅白にも出た。
「水樹さんはイオ派ですか、セラ様派ですか?」
野平さんはサラダのエビにフォークを刺し、おそらく口にいれている。モザイクに消えて行くので、よくわからない。
セラ・ヴェルナのことをセラ様と言っているので明らかに野平さんはセラ派だ。
イオは大人しいお嬢様タイプでセラは活発で負けず嫌いという性格で二人のヒロインは対照的だ。
ごめん、僕はそのどちらでも無いんだよね。
僕は副艦長のカレンが好きなんだよね。
カレンはレイジ、イオ、セラが乗り込む宇宙戦艦ヴァルグラムの副艦長だ。主な仕事は戦艦が揺れたときにその巨乳を揺らす役だ。
「実はカレン派なんですよ」
お酒を飲んでるからから思わず、正直に言ってしまう。カレンのエッチな同人誌も持っている。
「うわー、胸揺れ副艦長ですか。水樹さんマニアックですね」
このアニメのファンはイオかセラどちらかで悩むものだ。他のキャラも作画は良くて可愛いのだが、二人のキャラ立ちにくらべたらやはり弱い。
ちょうどテレビ画面では副艦長カレン・ミストレアが軍服に包まれた巨乳を揺らしていた。
「このあたりの作画神がかってますよね」
野平さんが感心する。たしかにこの辺の乳揺れは神がかっている。
僕はちらりと炬燵のテーブルに乗る野平さんの巨乳を見る。彼女が戦艦ヴァルグラムで乳揺れしているところを想像してしまう。
野平さんの顔がテレビを向いているのでたぶんだけど僕の視線は気づいていないはずだ。
ということでトレーナーの上かでもわかる野平さんのおっぱいとテレビ画面を交互に見る。
メタルギアード・レクイエムはすでにワンクール目を終わろうしていた。料理はすべて食べ終え、おなかいっぱいだ。仕事の疲れと久しぶりのアルコールでかなり眠い。
火星軍に捕らわれたイオを神崎レイジとセラ・ヴェルナが救出するために潜入するシーンが流れている。
すでに時刻は十二時を回っている。
だめだ、メタルギアード・レクイエムマラソンから離脱しそうだ。意識を保つことが難しい。
頭が勝手にかくりかくりと揺れる。
ふにゃりと柔らかなものが後頭部にあたる。
このふにふにした弾力はなんだろうか。
さわさわと触っていると指をはじくむっちりした感触がある。それに温かくて気持ちいい。
硬い指が僕の髪を撫でている。
指の感触も温かくて気持ち良い。
もう完全にだめだ。
僕は襲い来る睡魔に負けて、眠りにつく。
「はぁはぁ、水樹さんが私の膝で寝ている。これは興奮しますわね。はぁはぁはぁ……」
可愛いい声が耳を優しく刺激する。
むっちり柔らかなものを触りながら、僕の意識は遠のいていく。
眠りにつく直前に僕はうっすらと目をあける。紙一枚分だけまぶたをあけることができたが、すぐに睡魔の誘惑に負けて閉じてしまう。
その僅かな瞬間、僕には見えたような気がする。
亜麻色の髪をたらして、垂れ目がちな大きな瞳で誰かが僕を見ている。小さな鼻が可愛くて、厚い唇がセクシーだ。それはもうむしゃぶりつきたくなるほどセクシーであった。
「可愛いな」
それは声に出せたかどうか僕にはわからない。
たぶん夢だったのだろうと思う。
睡魔に負けた僕は完全に眠ってしまった。
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